〈スーパーに並ぶズワイガニの「バルダイ種」って何?〉ビジネスチャンスを失っている日本のもったいない使い方
今年(2024年)も年末を迎え、売り場にはたくさんのカニが並ぶようになりました。その中で目に付く、見かけない表示があるのに気づかれた方もいるのではないでしょうか? 【写真】”もったいない”大ズワイガニの食べ方 その表示とは、ズワイガニのパックに貼られている「バルダイ種」という表示です。 バルダイ種は別名「大ズワイガニ」です。ズワイガニにはオピリオ種とバルダイ種の主に2種類があり、数量的に多いのは前者の方です。皆さんがこれまで主に食べてきているズワイガニもほとんどがオピリオ種です。 ただし、売り場でこの2種類を分けて販売するというケースはあまりなく、ズワイガニとして扱われてきました。それではなぜ「バルダイ種」と明示しているのでしょうか? そこにはやや深い意味があります。日本がズワイガニを輸入している、カナダ、ロシア、ノルウェーといった産地のズワイガニはオピリオ種主体です。 米国の場合もオピリオ種が多いのですが、米国では2022年(漁期2022/23年)にオピリオ種の資源が急減したために、一時的に禁漁しています。しかしながらバルダイ種は漁獲しています。このため米国産は禁漁のはずなのに、恐らくなぜズワイガニを販売しているのか? といった混乱がおきないためと考えられます。 大ズワイガニは名前の通り、ズワイガニより大きく「食べ応えある極太サイズ」などという触れ込みで販売されています。 ところで、この貴重なバルダイ種が、ここ23年から北海道でたくさん獲れて話題になっているのをご存じでしょうか。
北海道の大ズワイガニはバルダイ種
23年の夏ごろから北海道で子供の大ズワイガニが大漁に発生しました。カレイ漁の網を食い破る被害が続出し、厄介者となっている報道をご覧になった記憶もあるかもしれません。このためカレイの水揚げは落ち込み、網の買い替えや処理費用で出費が重なって、数億円に上る損失がでるだろうなどと報道されていました。 そこで、1尾300~500円前後で販売したところ価格が安いため、瞬く間に販路が全国に広がっていきました。 なお、異常発生しているといわれている大ズワイガニは、まだ「子供のカニ」です。親と異なり食べ応えのある肉がたっぷり詰まったカニの足とは程遠い状態です。このため価格が安いのです。 筆者は、みそ汁やラーメンに入った大ズワイガニを何度も見ています。ところが、これがどれだけもったいないことをしているのか、といった報道は見たことがありません。 大ズワイガニの成長はズワイガニの成長より早いといわれています。このため今年(24年)には昨年より大きくなっています。それで価値も上がってくるのですが、親になった大ズワイガニの価値はそんなものではありません。