なぜスズキ「スイフト」は若者にも人気なのか? 海外市場でも強い理由を探った!【クルマの経済学】
海外市場で売れているスズキの新型「スイフト」は、日本の若者にも人気があるという。若年層にはSUVが好まれる傾向にあるなか、なぜコンパクトハッチバックのスイフトが支持されているのだろうか? 自動車ジャーナリストの山崎 明氏がその理由を探る! 【写真】これで販売は最後! スイフトスポーツファイナルエディションを詳しく見る!(全34枚)
なぜスイフトはグローバルで支持される?
2023年12月、新型スズキ・スイフトが発売された。スズキの資料によれば新型は4代目にあたり、初代は2004年に発売とある。しかし実際にはスイフトという名の車は2000年に発売されている。 ただし、このモデルは現在のスイフトとはイメージの異なるややSUVテイストのモデルで、海外ではイグニスという名で販売されていた。イグニスは一旦消滅するものの、その後小型SUVとして日本でもイグニスの名で販売された。つまり日本における初代スイフトは初代イグニスなのだが、グローバル視点では2004年発売のスイフトが初代スイフトということになる。 スズキは日本では軽自動車がメインのため、登録車のスイフトはそれほど目立った存在ではないかもしれないが、グローバルでみればスズキの屋台骨ともいえるメジャーな車種なのである。生産台数は2004年から現在までで900万台に達している。日本でも年間2.5万台ほどが売れており(スイフトスポーツ含む)、Bセグメント車としてはマツダ2とほぼ同等の販売台数である。 しかし世界では年平均45万台も売れているわけで、日本での販売はあくまで一部というわけだ。スイフトは日本を含めて170の国と地域にて販売されているが、販売台数が多いのはインド、ヨーロッパだ(現在、スズキはアメリカと中国では四輪車の販売はしていない)。 このような特徴を持つスイフトだから、この4代目の新型も当然グローバルモデルとして開発されている。基本的にどの国も同じスタイル、同じエンジンで販売されるのが前提である。走行性能が重要視されるヨーロッパ、耐久性やコストが重視されるインド、ファッション性も重要な日本とすべての市場のニーズを満足させないといけないという、非常に難しい車種でもある。また時代の要請から、CO2の削減(=燃費の低減)も重要課題である。 この新型スイフト、販売は好調に推移しており、日本では2024年1-6月で前年比32%増となっている。しかもこれはスイフトの販売台数の約3割を占めるスイフトスポーツはまだ旧型のままという段階での数字である。 新型スイフトの販売動向で特徴的なのは、Bセグメントハッチバックとしては異例なことに若年層の購入比率が高いということだ。現在、日本のBセグメントハッチバック車のユーザー層は50代以上がメインだが、スイフトは40代が平均と明確に若く、20~30代の若年層も3割を占めるという。現在、若年層はSUVがメインとなっているのだが、スイフトに限っては小型ハッチバックであっても支持されているのである。