なぜスズキ「スイフト」は若者にも人気なのか? 海外市場でも強い理由を探った!【クルマの経済学】
スイフトのMTモデルに需要あり!
またトランスミッションはオートマチック(AT)だけでなくマニュアル(MT)も選べるのも特徴だ。スイフトはグローバルモデルなので、今でもMT需要が多い地域のためにMTモデルは必要不可欠なのである。ヨーロッパでは今でも7割がMT車ということだ。ちなみにトヨタ・ヤリスとホンダ・フィット(ヨーロッパではJAZZという名称で売られている)は環境性能重視のためヨーロッパではハイブリッドのみとなっており、MT需要の多いヨーロッパでもMTは販売されていない。 日本では新型スイフト購入者の約1割がMTを選んでいるという。スイフトのスポーツモデルであるスイフトスポーツはまだモデルチェンジしていないが、現行モデルではなんと約6割がMTを選んでいるらしい。現在、日本のMT比率は1%少々らしいので、この数字は驚異的である。日本で売られているMT車の多くはこのスイフトとマツダ・ロードスター(7割以上がMT)の2モデルで占められるのではないだろうか。 なぜスイフト購入者は若年層が多く、MT比率も高いのだろうか。私の20代後半の息子もクルマの購入を検討しているのだが、有力候補のひとつがスイフトだという。息子は私の影響からか、MTにこだわりがあるのでMTが選べることが必要条件なので当然といえば当然なのだが。 この理由を探るために、新型スイフトを4日間にわたって借り出し、じっくり試乗することにした。もちろん借りたのはMTモデルである(グレードは中間グレードのハイブリッドMX、ボディカラーはフレイムオレンジパール)。
スイフトを選ぶ人は運転が好き?
走り出してまず感じることは、身のこなしが軽いということである。パワーがあるわけではないが、走りが軽快でコーナリングがとても楽しい。カタログを見ると車重はなんと920kg、軽さが売りの私のND型ロードスターより100kgも軽いのである。ヤリスは980kg、マツダ2は1040kg(共にガソリンのMT車)なので、MTを選べる競合車と比較してもかなり軽い。車重は軽くても安定感はあり、ステアリングフィールなども欧州車と遜色のないレベルである。この走りであればヨーロッパでの評価も高いことも理解できる。私の息子も試乗し、久しぶりのMT車の運転で車の運転の愉しさを再認識したようだったが、単にMTだっただけでなくスイフトであったこともその印象を強めることになったと思う。 これでスイフトが選ばれる理由がほぼ明確になったと思う。スイフトを選ぶ人は運転が好きな人だということだ。この軽快感は他車では味わうことのできない、唯一無二のものなのである。