【ライブレポート】ART-SCHOOLとAge Factoryが念願の初ツーマン、美しい轟音がリキッドに鳴り響いた夜
ART-SCHOOLが12月11日に東京・LIQUIDROOMでツーマンライブ「ART-SCHOOL 2 MAN LIVE『Bring 2 Life a Vision vol.3』」を開催した。 【写真】向かい合って音を鳴らす、ART-SCHOOLの木下理樹と戸高賢史 「Bring 2 Life a Vision」はART-SCHOOLが今年行っているツーマンシリーズで、第1回にHelsinki Lambda Club、第2回にThe Novembersが出演した。第3回に登場したのは、レーベルの後輩でもあるAge Factory。UK.PROJECTのライブイベント「UKFC on the Road」で2組が共演する機会はあったが、今回お互いに熱望していた対バンライブがようやく叶う形となった。 ■ Age Factory ART-SCHOOLに影響を受けてきたというAge Factoryは「Dance all night my friends」で特別な夜の幕を開け、大切な瞬間を噛み締めしめていく。幻想的な海の光景が広がるような「HIGH WAY BEACH」を経て、「自分の街の曲を」と清水英介(Vo, G)がつぶやいて「Merry go round」を届けると、オーディエンスが一斉に拳を突き上げて共鳴した。「『ART-SCHOOLとツーマンしてるぜ、お前』って高校のときとかの俺に言いたいなって。そんなすごいうれしい日に来てくれてありがとうございます。俺らに残せるもの、ここに残して帰ります」と清水は感慨を口にし、ノスタルジックな匂いを感じさせるナンバー「Peace」をプレイ。そしてありったけの魂を注ぎ込むように「CLOSE EYE」「Kill Me」で心を揺さぶるような轟音と剥き出しのシャウトを放った。 メロディアスなギターが心を揺さぶる「Everynight」で夜の物語を紡ぎ上げたAge Factory。「ここで敬愛すべきART-SCHOOLの曲をカバーします」と清水が宣言して会場を大きく沸かせた。彼らが演奏したのは、ART-SCHOOLの楽曲の中でもライブで特に爆発的なエネルギーが宿る「FADE TO BLACK」。彼らは今この一瞬にすべて懸けるような咆哮と熱のこもったプレイでART-SCHOOLへのリスペクトを示した。さらに清水は「俺たちに流れる血の中に確実にART-SCHOOLの血が必ずあって。今日ちゃんと言えてないですけど、俺にとってすごいうれしい日です。だからこそライブで見せようと思います」と述べ、ART-SCHOOLの「あと10秒で」から影響を受けて制作したという「Blood in blue」を披露。キックで刻む四つ打ちのビートを軸に、夏の終わりの情景を生み出した。「マジでART-SCHOOLとやれてよかったです。すごくいい日でした」と清水は告げ、情緒的な旋律に乗せて「nothing anymore」で「もう何も要らない」と繰り返し歌う。UK.PROJECT内のレーベルDAIZAWA RECORDSに移籍し、ART-SCHOOLとレーベルメイトになった頃にリリースしたアルバム「EVERYNIGHT」を軸としたセットリストで全12曲を届けてアクトを終えた。 ■ ART-SCHOOL Age Factoryからバトンを受け取ったART-SCHOOLは「Bug」でライブをスタートし、希望をはらんだ美しい音の渦で場内を満たした。そして彼らは一瞬で獰猛な姿に変貌し、木下理樹(Vo, G)の熱を帯びた歌声を中心に据えて「LOST CONTROL」を荒々しくプレイ。「SANDY DRIVER」では軽快ながらもダイナミックな演奏を繰り広げ、その勢いのまま「real love / slow dawn」へと突入した。戸高賢史(G)は「Age Factoryは素晴らしいバンドで、ずっと一緒にやりたかったんですけど、なかなかタイミングに恵まれず。でも、ようやく今日一緒にやることができて本当にうれしいです」と喜びを語る。Age Factoryの熱演を受けて「ヤバいな、マジで。カッコよかったね」と戸高に話を振られた木下も「うん、見ててめちゃめちゃカッコよかった。すごくいいバンドで僕も好きなので、競演できてうれしいです」と感慨たっぷりに述べた。戸高は「Age Factoryのメンバーからもスタッフからも『僕たちはART-SCHOOLの血筋です』みたいなことを言われて、『大丈夫か?』と思いながらも、僕らの色や世界観が、少しでも彼らの表現の中でカッコよく昇華されてるといいなって。そして、本当にカッコよく昇華されてるなと思いながら今日のライブを観てました」とうれしそうに話す。木下は「FADE TO BLACK」のカバーを受けて「本当にいいカバーだったよ。ありがとう!」と感謝の思いを言葉にした。 疾走していくビートに鮮烈なギターサウンドが重なった「アイリス」を経て、「欲望の翼」では美しい音の粒がキラキラときらめくようにフロアに降り注ぐ。「BUTTERFLY KISS」「BLACK SUNSHINE」では何かに焦がれるような儚い歌声が幻想的な世界観を生み出した。「プールサイド」をゆるやかに奏でたあと、戸高は「Age Factoryがカバーしてくれたので、僕らも1曲カバーしようと思います」と宣言。「ですが……歌うのは、僕です」と戸高が言葉を続けると、木下が「ボーカル、トディ!」と戸高を指し、「Feel like shit today」の演奏がスタートした。今回は木下から「好きな曲なんだけど、トディの声のほうが合うんじゃないか?」という提案があり、戸高がボーカルを取ることになったという。その提案の通り、戸高はパンキッシュなサウンドとともに爽快な歌声を響かせて会場を盛り上げた。ライブ終盤を迎え、5人はギアを一層上げて「Just Kids」「ジェニファー'88」といった疾走感のあるナンバーを連投。開放感のあるサウンドをフロアに向けて思い切り放ち、観客の心を駆り立てていった。「UNDER MY SKIN」ではオーディエンスが衝動のままに一斉に拳を振り上げる。そして5人は「BOY MEETS GIRL」を届け、場内をみずみずしいサウンドで満たしてステージを去って行った。 アンコールを求める拍手に呼ばれ、再び登場したART-SCHOOLは、Age Factoryの「Blood in blue」のリファレンスとなっている「あと10秒で」をプレイ。最後に「FADE TO BLACK」で激しい閃光を背に魂のこもった轟音を鳴らし、念願のツーマンライブに幕を下ろした。 ■ セットリスト □ 「ART-SCHOOL 2 MAN LIVE『Bring 2 Life a Vision vol.3』」2024年12月11日 LIQUIDROOM Age Factory 01. Dance all night my friends 02. HIGH WAY BEACH 03. Merry go round 04. Peace 05. CLOSE EYE 06. Kill Me 07. Yellow 08. Everynight 09. FADE TO BLACK(ART-SCHOOL Cover) 10. Blood in blue 11. Sleep under star 12. nothing anymore ART-SCHOOL 01. Bug 02. LOST CONTROL 03. SANDY DRIVER 04. real love / slow dawn 05. アイリス 06. 欲望の翼 07. BUTTERFLY KISS 08. BLACK SUNSHINE 09. プールサイド 10. Feel like shit today(Age Factory Cover) 11. Just Kids 12. ジェニファー'88 13. UNDER MY SKIN 14. BOY MEETS GIRL <アンコール> 15. あと10秒で 16. FADE TO BLACK