心に染み込ませておきたい、セックス・ポジティビティとは?
性的同意について理解が進んできたなかで、セックス・ポジティビティに触れたい。これは、セクシュアリティに対するスティグマ(負の烙印)に対するアンチテーゼとして生まれた思想のこと。ジェンダーと性科学に詳しいジャーナリスト此花わかがセックス・ポジティビティについて解説する。 【写真】セクシーって何だろう。セレブの名言から学ぶ「色気の正体」。
そもそもセクシュアリティとは?
しかし、その前に、セクシュアリティの意味を考えたい。セクシュアリティとは、一言で説明すると「性のあり方」。自分の身体や他者との関係性を理解するために使う言葉である。日本でセクシュアリティを外見や性行為と結び付けて、性的魅力や官能(セクシーやエロ)と混同する人がいるが、まったく違う。セクシュアリティは、性に対する価値観や信念、性自認、性的指向、欲望、人間関係、ジェンダー(社会が作った女性らしさ、男性らしさ)など、私たち自身の性に関するあらゆる要素を包括する概念なのだ。
セックスは自然なもので、喜びや快楽も含めて自分を知ることだ。
そういった自他の「性のあり方」をポジティブにとらえ、「性のあり方は自然なもので、セックスの喜びや快楽も含めて自分を知る」ことがセックス・ポジティビティをさす。米・テキサスの性教育者であるグッディ・ホワード(Instagram @askgoody)が非常に上手に説明している。ホワードは「批判されたり、恥じたりすることなく、誰もが自分のセクシュアリティやジェンダーを体現し、探求し、学ぶ場を持つべきだ」という思想がセックス・ポジティビティだという。 ただし、肝に銘じなけばいけないのは、「対等な立場」における「同意」が前提だということだ。例えば、ペドフィリア(小児性愛)はセックス・ポジティブではない。性的同意を理解できるほど成長していない子どもからは本物の同意が得られないから、ペドフィリアは子どもへの人権侵害であり、性的虐待とみなされる。 セックス・ポジティビティをもっとよく理解するにはセックス・ネガティビティの特徴を覚えておきたい。以下に、前述のホワードやエミリー・ナゴスキ博士など世界的に有名なセックスエデュケーターが主張している特徴をまとめてみた。