<ラグビー>エディージャパンが香港戦で試したW杯ベスト8戦術
当日、確かな目的を持って過ごした80分。「選手の意図は感じられた」。本音か建前か。指揮官はまず、満足げな談話で振り返った。 「ダイレクトなプレーとワイドなプレーを工夫して使い分けていました」 ジャパンは終始、自陣ではグラウンドの端から端までパスを繋いだ。センター田村優は、「空いていたから、そうした」。香港代表の両ウイング(タッチライン際の選手)がキックに備えて後退するや、もともとそのウイングがいたスペースへせっせと球を運んだのだ。 逆に、相手の守備ラインが競りあがればその背後にロングキックやキックパスを放つ。「キックを任されている」というセンター田村は、時に立ち位置を変えながら蹴るべき空間を見定めた。かような試合運びが、41-0での白星につながった。 センター田村とともに試合を組み立てたスタンドオフ立川理道は、「コミュニケーションを取りながらのワイドなパスとキック…。できていたところとできていないところがあった」。この日の試合運びは理想に程遠かったと示した。 「南アフリカのどこにスペースがあるかは、やってみないとわからない。(守備網の)後ろが空いていたら蹴って、(自分の)前が空いていたらラン…。(状況を)見ながらやっていく部分の精度を、高めてやっていきたいです」 ただ、56-30と勝利も消化不良だった韓国代表とのARC初戦(4月18日/仁川・南洞アジアード・ラグビー競技場)を踏まえ、センター田村はこう振り返るのだった。 「空いているところを見ながら、周りと喋りながら、です。空いていれば蹴るし、ウイングが下がっていればどのチームでもアタックするだろうし。前と比べたら、レベルの違う試合ができた。ミスはあったし、完璧ではなかった。それをやろうとする意欲はあった」 もうひとつのテーマだった「セットプレーを避ける」は、実現し切れなかったようだ。攻め込んでの落球や反則が重なったためだ。指揮官は「きょうのレフリングの状況ではそれは難しかった」と選手をかばいつつ、「個々のエラーが非常に目立った」とも重ねた。