<ラグビー>エディージャパンが香港戦で試したW杯ベスト8戦術
4年に1度のワールドカップ(W杯)を9月に控えるラグビー日本代表が、今季国内初戦に挑んだ。5月2日、東京・秩父宮ラグビー場。アジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)の第2戦である。 前日練習後、エディー・ジョーンズHCはこう意気込んでいた。 「やりたいことが何点かあります。アタックのバリエーションを増やすこと。そして、セットピース(スクラム、ラインアウトなどのプレーの起点)を避けて戦うこと」 真剣勝負であり、リハーサルだった。世界ランク11位のジャパンは、対する世界ランク27位と格下の香港代表を、あえて世界ランク2位の南アフリカ代表と見立ててゲームプランを練った。9月18日のW杯初戦でぶつかる相手を、より意識したかったからだ。 「アタックのバリエーション」の真意は「スペースを見つけて適したプレーをすること」だろう。 もともとの日本代表は球の供給源の周りに「シェイプ」という人の塊を作り続ける、いわば「形」を重視したチームである。しかし、肉弾戦で世界最高クラスの圧力を誇る南アフリカを前に、「形無し」の試合展開を志向したいようだ。「相手をぐちゃぐちゃにする。そういう戦いもできるように」。こう話したのは海外組が離れている間の副将、ロックの伊藤鐘史だった。 指揮官がふたつめに挙げた「セットプレー(スクラムやラインアウトなどのプレーの起点)を避ける」も、いわば「形無し」の延長線上の目的だった。指揮官の言葉を借りれば、「南アフリカは、セットピースで最も強いパック(団結力、圧力など)を持っている。ボクシングに例えたら、この体重差では試合をしてはいけないはず」。ボールを動かす時間を長く保ち、間を減らし、速いテンポで戦い続けたい。指揮官はこう、締めたのだった。 「動いて、ジャブを打って、(懐に)入って、出たり…。そういう試合をしないと勝てません。ボールインプレー(グラウンド上でボールが動くシーン)の時間を長くして、ハードなランを積み重ねないといけません。大変なことです」