NBAを目指す富永啓生が語った決意 Gリーグ所属チームのHCに聞く苦闘の理由
【シュート力は折り紙つきだが......】 2024年の歩みをたどれば、一見華やかな日々にも映るが、バスケファンならご存知のとおり、苦闘はパリ五輪中から始まっていた。オリンピック出場権を獲得した2023年ワールドカップでは1試合平均17.9分のプレータイムを得たが、パリ五輪本番では同2.6分。日本代表のローテーションから外れた言える数字であり、得意の3ポイントシュートの成功数はゼロに終わっている。同じ流れはGリーグのマッドアンツでも続いている。 このようにプレータイムが激減の一途を辿っている理由は、どこにあるのか。30日の試合後、マッドアンツのトム・ハンキンスHCに話を聞くと、Gリーグでの冨永がベンチにほとんど縛りつけられている要因は明快だった。 「ディフェンスは彼にとって非常に難しい課題になっている。彼のシュート力はみんながわかっているし、人間性もすばらしい。あとは身体を強くし、ディフェンス面で向上しなければいけない。(Gリーグで対戦している)選手たちとの体格、運動能力の差は見てとれるはずだ。 接戦になると、彼の出場機会を見つけるのは本当に難しい。相手チームは攻撃的に攻めてきて、彼のサイズ不足を利用されてしまうからだ」 NCAAトーナメントの3Pコンテスト優勝の実績が示すとおり、富永のシュート力は紛れもなく本物だ。ディフェンスに難があることはネブラスカ大時代から指摘されていたが、それでもジャンパー特化で全国区に近い存在にまで上り詰めたのは見事だった。"もしかしたらこの勢いをプロでも保てるのでは?"と周囲に思わせたことは、その独特の魅力とスター性によるものだろう。 「"やってみなければどうなるか、わからない"という未知数の要素が強い選手だった。カレッジ時代は卓越した得点力を発揮していたが、それがプロレベルでどう出るかは想定するのが難しかった」 米国内で活動するある代理人は、そう話していたが、ペイサーズもまた、富永のその稀有なシュート力と思いきりのよさが、不足部分を凌駕できると考えたのかもしれない。