王者ゴディバの「さすがすぎる」ブランド戦略、ここにきて「あえてパン屋」の納得理由
高級チョコレートブランドのゴディバ。女性が馬に乗ったロゴは、一度は目にしたことがある方も多いと思います。そんなゴディバが世界初となるベーカリーショップを日本に開店し、人気を博していることをご存じでしょうか。なぜチョコレートメーカーであるゴディバがベーカリーを開くのか。そこには、マーケテイング視点で、ブランドを強化するための「ある戦略」がありました。グーグルでシニアマーケティングリサーチマネージャーを務めた多田翼氏が、ゴディバのブランド戦略を解き明かします。 【詳細な図や写真】ゴディパンでは季節限定の商品も販売されている(出典:ゴディバ プレスリリース)
ベルギー王室「御用達」認定はなんと半世紀以上
ゴディバは1926年に誕生し、プレミアムチョコレートで存在感がある世界的なブランドです。 ベルギーのブリュッセルで創業した同社は、1968年に「ベルギー王室御用達ブランド」として認定。それ以降半世紀以上、王室御用達の称号を冠しています。現在はトルコのユルドゥズ・ホールディングの傘下にあり、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を置くグローバルブランドです。 さまざまな味のチョコレートを豊富に取り添える同社ですが、ローストしたナッツに砂糖を加えながら炒ってすりつぶしてペースト状にした、同社伝統のチョコ「プラリネ」が「ハート オブ ゴールドコレクション」やトリュフチョコレートの詰め合わせ「レジェンデール トリュフ」などが代表的なラインナップとして知られています。 ちなみにゴディバが日本に進出したのは、1972年のこと。東京の日本橋三越本店に1号店を構えて以降、現在は国内で300店舗以上に拡大しています。
ゴディバによる「世界初」のパン屋とは
そんなゴディバが2023年8月、東京・有楽町にオープンしたのが、同社として世界初のベーカリーショップ「GODIVA Bakery ゴディパン」です。 開店に際した同社の発表によるとゴディパンは「日常の中でゴディバをお楽しみいただける身近なベーカリーブランド」であるとされており、「町のパン屋さん meets ゴディバ」をコンセプトに設定。チョココロネやクリームパン、ドーナツといった日本でお馴染みのパンを販売しています。店内にはベーカリーキッチンと低温キッチンルームを備え、店内で作ったチョコレートやクリームをパンに使用しているそうです。 オープン初日には、200人以上が列に並び、1人4個までの購入制限も急遽設けられたと報じられるほどの人気ぶりで、店内では、季節に応じた限定商品の発売はもちろん、今年8月には開店1周年を記念した商品も発売されるなど、現在も盛り上がりを見せています。 そんなゴディパンから、マーケティング視点でどんなことが学べるのでしょうか。