王者ゴディバの「さすがすぎる」ブランド戦略、ここにきて「あえてパン屋」の納得理由
ゴディパンから学ぶことができる「ブランド戦略」
ゴディパンの事例からは、ブランド強化についてを学ぶことができます。同社がベーカリー店を展開するのは、今まで積み重ねてきた独自ブランド資産を横展開する「ブランド拡張」と見ることができるのです。 まず、ブランドとは何かついて整理しましょう。ブランドとは商品やサービスを超えた、独自の価値観やイメージ、ストーリー、体験の総体を指します。ブランドは長年にわたる一貫した品質と信用の積み重ねによってつくられ、顧客の心の中に根付いた信頼の証のような存在となります。 ブランドは特有の“らしさ”を持つことでほかの製品とは違うものだと認識され、かつその違いが顧客にとって価値となります。だからこそブランドは顧客から「これ“が”いい」と選ばれる存在となるわけです。 ブランドが持つ“らしさ”とは、ブランドが体現するブランドの理念や価値観、品質や価値へのイメージ、感情的な結びつき(例:共感,憧れ,誇りなど)などで形作られます。この“らしさ”は、競合他社には簡単に真似のできない、ブランド独自の資産です。 たとえばゴディバは、高級なチョコレートというモノとしてだけでなく、“ゴディバにしかない至高の味わい”や“上質なチョコレート体験”といった顧客価値を長年にわたって目指してきました。この一貫した活動、すなわちブランドを築くブランディングが顧客の心の中に“高級チョコの代名詞”という強い認識を生み出しているのです。
ブランド強化における「4つの方法」
では「ブランド拡張」とは何を意味するのでしょうか。 ブランド拡張は、既存のブランド資産、具体的には知名度や信用を新しいカテゴリーでの商品やサービスに適用するブランド成長のためのアプローチのことで、マーケティング論の権威であるフィリップ・コトラー氏による「4つのブランド戦略」の1つにも挙がっていることでも知られています。 この4つのブランド戦略とは、具体的には以下の4つで、皆さんも一度は聞いたことがあるものも含まれているかもしれません。 ・(1) ライン拡張 (2) ブランド拡張 (3) マルチブランド (4) 新ブランド ライン拡張は、同じカテゴリ内で、違う製品ラインナップを展開する方法です。たとえばゴディバで言うと、もともと展開しているチョコレートというカテゴリ内で新しい風味のチョコレートを展開するイメージです。このライン拡張は、アイスクリームやポテトチップスといったお菓子から、ビール、など、食品ブランドでは非常によく見られる方法です。すでに顧客はそのブランドを知っていて信用しているので、ブランドから新しいカテゴリーやジャンルの新商品が出たら、期待値が自然と高まり買ってもらえることを期待するわけです。 一方マルチブランドは、同じカテゴリ内に2つのブランドを展開する方法のことです。わかりやすい例だとトヨタ自動車が、「TOYOTA」と高級路線の「LEXUS」を展開しているイメージです。 そして新ブランドは、その名の通りまったく新しいブランドを新たなカテゴリーに新規投入することを意味します。