「思考力」を飛躍的に高めるためにアタマの良い人が実践している、絶対に真似するべき「思考習慣」
先行きが見えない「答えのない時代」を生きる私たちにとって、「自分の頭で考える力」は必須です。でも、何をどのように考えれば良いのか、どのように勉強すれば良いのか、具体的な方法がわからない人も多いでしょう。 【写真】「思考力」を飛躍的に高めるためにアタマの良い人が実践している「思考習慣」 気鋭の哲学者・山野弘樹氏が、自分の頭で考えて学びを深めるための方法=「独学の思考法」をわかりやすく解説します。 ※本記事は山野弘樹『独学の思考法』(講談社現代新書)から抜粋・編集したものです。
普遍性をめぐる問い
「思考の出発点」として紹介する1つ目の問いのパターンは、「普遍性をめぐる問い」です。普遍性とは、簡単に言えば「いつでも、どこでも、誰にでも当てはまること」を意味します。そして、私たちはフォーマルないしパブリックな場面で何らかの主張を行うとき、「その主張はどこまで広く当てはまるのか(普遍的なのか)?」ということが必ず問われます。そのため、「自分の思考の普遍性」を自らチェックするための問いが必要になります。 A【判断の普遍性を探究する問いのパターン】 (1)「それは、本当に他のすべての事柄に当てはまるのか?」 (2)「なぜそう言えるのか?」 (3)「そもそも、○○とは何だろうか?」 1つ目の問いは、「それは、本当に他のすべての事柄に当てはまるのか?」(「事例」の普遍性をめぐる問い)というものです。ある一定の普遍性を備えた思考を展開するためには、何よりもまずこの問いを自他に対して提出する必要があります。なぜならこの問いは、私たちの思考を修正・限定してくれる力を持っているからです。 生半可な意見を提出しても、この問いを乗り越えることはできません。「これはみんな言っていることなんだ(普遍的なのだ)!」と主張したとしても、大抵の場合、それは根拠のない断言になってしまうでしょう。なぜなら、よほど強力な根拠のある主張でない限り、「他のすべての事柄に当てはまる」ような判断などはそうそう存在しないからです。ですが、「すべての人はみな死ぬ」といったあまりにも基礎的な意見を集めても、何か積極的な思考を行うことはできません(それだけで議論が発展することはないからです)。 普遍性を維持しつつ、意味のある積極的な思考を行うためには、適切に自らの説を限定していく必要があります。とはいえ、これはそんなに難しい話ではありません。 例えば、「○○というスーパーは安い」という判断に対しては、「他の地域においても同様なのか?」、「高い曜日もあるのではないか?」という問いに答える形で、一定の修正を加えていく必要があります(例:「○○というスーパーは、△△と□□という条件があるときに、安くなる」)。 他にも、「本を読めば必ず人は頭が良くなる」という主張に対しても、普遍性を維持するためには、同様の限定を加えていく必要があるでしょう(例:「○○のジャンルを、△△の仕方で読めば人は頭を良くすることができる」、「『どのような読み方をしても頭が良くなる』というわけではない」)。 こうした普遍性をめぐる問いに取り組む1番の利点は、「思考の抜け漏れ」を防ぐことができる点です。人間の知性は有限ですから、私たちは何かを考える際にどうしても「抜け漏れ」を出してしまいます。ですから、「思考の抜け漏れ」を点検するための思考習慣をしっかりと身につけることが大事なのです。