「僕はオオタニが大好き」「台湾が日本に勝ってビックリなの」プレミア12優勝その後…現地でファン・記者に直撃「こんな盛り上がりは過去ない」
女性ファンは「日本に勝ってビックリ」「タウラが好き」
筆者は昨年も台南市でアジアウィンターリーグを観戦したが、そのときに少し日本語ができる陳亭妤さんという人物と話をした。その1年後23歳になった陳さんが、今年も斗六球場にやってきていた。友達の林含貞さんも一緒だ。1年ぶりの再会である。 早速、プレミア12について話を聞いてみると「私たちは、最初、台湾が日本に勝つとは全然思っていませんでした。でも、台湾が勝って本当にうれしかったです。みんなびっくりしていました」とのことだった。 台湾の野球ファンの特徴は、台湾のプロ野球だけでなく、日本の野球も熱心に見ていることだ。 「日本の野球選手では誰が好き?」と聞くと、「私は、去年まで西武にいた呉念庭選手をずっと応援していました。今年、日本に帰ってきて、ドラフトで台鋼ホークスに入団しました。ずっと応援しています」とのことだった。 「林さんは誰が好き?」と聞くと「田浦選手」だという。「え? ソフトバンクの田浦文丸?」と思ったが、なんと、その弟でミキハウスの内野手、田浦由亮だという。彼もドラフト候補ではあるが、なんというマニアックな――。そういえば球場には、日本のJABA選抜(社会人)の選手をカメラで熱心に追いかけるファンもいた。
在住記者「今でも深掘り記事が…こんな盛り上がりはない」
2019年、前回のプレミア12でのグループBの日本-台湾戦を、台中洲際棒球場で観戦した。このときは超満員だったが、当時CPBL(台湾プロ野球)広報の劉東洋さんに話をして急遽取材で入れてもらったのだ。ちなみに劉さんは今、新球団台鋼ホークスのGMである。この試合は8対1で日本が圧勝したが、台湾のファンは勝った日本チームにも大きな拍手を送っていた。 台湾が敗れても観客席が荒れることはない。勝者に惜しみない拍手を送る。これが台湾の人々の気質だ。そして、日本の野球が好きな人が本当に多いのだ。 「プレミア12で優勝した選手の凱旋帰国は本当にすごかったですね。空軍のF16戦闘機で選手が乗った飛行機をエスコートして帰国して、翌日には総統府まで歓迎パレードが行われました。私は20年ほど台湾野球を追いかけていますけど、とにかく世界三大野球大会〈WBC、オリンピック、プレミア12〉の1つで初優勝したという事実は大きいですね」 台湾在住で、長年にわたって台湾野球の情報発信をしているライターの駒田英さんはこのように話す。 「2013年のWBCで日本と死闘を繰り広げたときも、台湾の反応はすごかったのですが、ベスト8で負けてしまった。でも今回は優勝ですから。プレミア12が終わってもう2週間以上たっていますけど、まだ選手のインタビューとか深掘り記事とか、こぼれ話が出てきています。こんな盛り上がりは過去、なかったんじゃないでしょうか。 やはり前評判があまり高くなかった中、下馬評を覆しての勝利ですから。特に陳傑憲(チェン・ジェシェン)というMVPをとったキャプテンを中心に、チームが一丸となったんですね。団結して強敵を打ち破って東京に行き、27連勝している日本に勝って優勝する。映画でもちょっとこんなストーリーは書けないんじゃないですか」