実写化待ったなし!? の刑事バディものから、芸人、探偵まで! 笑いあり、涙あり、加えて“学び”ありの「お仕事」系漫画4選【書評】
“嘘が聞こえる”少女を描いた昭和レトロミステリー『嘘解きレトリック』
自分が役に立たないと思い込んでいる才能も、使い道次第では多くの人を助けることがある。もし職業選択などで進む道を迷っている人がいたら、一つの参考として『嘘解きレトリック』を読んでみてほしい。 同作の主人公・浦部鹿乃子は、“嘘が聞こえる耳”を持っている少女。その特異な能力が災いして迫害されてきた過去を持ち、人を傷つけないために独り立ちを決意して旅へ出ることに。かくして物語の舞台となる九十九夜町へ辿り着いたものの、仕事も住む家も見つからず、行き倒れていたところを貧乏探偵の左右馬に救われ、そこから運命が変わっていく――。
昭和レトロな世界観でミステリーが繰り広げられていく『嘘解きレトリック』。嘘が聞こえる力で他者を傷つけることしかできなかった鹿乃子だが、探偵業においてはこれほど役に立つ能力はない。彼女のように都合よく適所へ収まれるほど現実は甘くないかもしれないが、どんな才能もきっと誰かが求めてくれている……それは現実世界でも同じではないだろうか? ファンタジー要素は強いが、本格的なミステリー作品としての評価も高い同作。2024年秋季の月9ドラマで実写化した話題作で、完結済みの原作にはドラマに直接取り上げられていない話もまだまだある。年末年始の一気読みにオススメしたい。
処世術の参考になる?『犯人クン、何してんの?-探偵・鬼灯アロの事件簿-』
『犯人クン、何してんの?-探偵・鬼灯アロの事件簿-』は、タイトルの通り探偵を題材にしたミステリー作品。現役高校生のギャル・鬼灯アロが推理小説オタクの赤岩五月とタッグを組み、さまざまな事件を解決していく。
アロは俗にいう“コミュ力お化け”で、誰とでもすぐに友達になれてしまう。言い換えると人心掌握に長けており、意外にも探偵という職業にピッタリなのだ。実際に初めて相対した事件では、雑談を仕掛けて鑑識の注意をひきつけ、五月がその隙に証拠品を頂戴して事件解決の糸口を掴むという、ギャルならでは(?)の鮮やかな手法を披露していた。 お仕事漫画という本筋からは逸れているが、対話することの大切さを教えてくれる同作の作風は実社会にも通じるはず。真似するのは難しいけれど、仕事で人間関係に悩んでいる人はアロのコミュニケーション術を参考にしてみてはいかがだろうか? 2024年から25年の年末年始は、人によっては最大9連休。仕事のことを忘れてのんびりすることも大切だが、休み明けに備える意味でもお仕事漫画を読んで、やる気を充電しておくのもいいかもしれない。