"高温多湿"の沖縄でも断熱リフォームは必要? 地域の気候と文化の難題向き合い光熱費42%削減!?
オープンクローゼットなど沖縄ならではの工夫も
モデルルームになったのは沖縄県沖縄市にあるマンション。沖縄は冬でも20度前後で過ごしやすい日もあるのですが、この日は2023年で1番といってもいいほど冷え込んでおり、外気温は15度前後。長袖を一枚はおらないと肌寒さを感じる日でした。 玄関ドアを開けると、まず三和土の先はフローリングが張られ、リビングへ続く廊下はまたドアで仕切られています。 「外気やそこに含まれる湿気がリビングに流れ込まないようにするためです」(德里さん) 室内に一歩足を踏み入れた瞬間、思わず「暖かい!」と声が出てしまうほど。室内は、全館空調で室温22度前後、湿度約60%に保たれています。 全館空調のメリットを最大限引き出すには、気密性の高さがとても大切です。ドアは曇りガラスになっているため、リビングの窓から入る光を通し、玄関は薄暗さを感じられません。
向かって右側には、オープン式のシューズラックが設けられています。 「多湿な沖縄では、引き出しや戸棚の中のものにカビが生えやすいことから、オープン式のシューズラックや洋服掛けなどが好まれます。まれに、ドア付きのクローゼットのドアをわざわざ開け放しておく方もいるほどです」(同) 確かに、個室に設けられたクローゼットもオープン式です。
全館空調システムは、キッチンの天井裏にはめ込まれています。ケィ・マックインダストリー社の24時間換気システムで、導入費は200万円ほど。リビングを通ったダクトから外気を室温に近づけて給気する仕組みです。
キッチンの天板はステンレス、それ以外の部分はホーロー製。
全ての居室の室温や湿度、換気などをキッチンで一元管理できます。
外気を取り入れるビングのダクトは白色にして圧迫感を減らしています。
寝室の様子。リノベーションして内廊下に面した窓があるため光が入って開放的。
「エアコンの室外機を1つずつ設置しなくてよいので、意匠的にも優れています」(同) 全館空調の効果を最大限に発揮するために、壁と床にはそれぞれ厚さ2.5cmの断熱材を使用しています。 断熱材が入ることで、外から沖縄の太陽で照り付けられても熱が室内にこもることがなく、冷房で冷やされた室温を維持しやすいのです。また、外部の湿気が内部に侵入しにくという効果もあります。 コンクリートの建物で、このように室内の壁と床に断熱材を入れることは珍しいといいます。