川内優輝ら男子ペースメーカーに称賛の声…瀬古リーダー「男子が女子を引っ張るのは悪いことですか」発言は正しいのか
今大会は、5人の男子のペースメーカーが起用されたことで男女混合マラソン扱いとなり、川内のタイムも記録として残った。13キロ過ぎで一山から遅れた前田を第2ペースメーカーとしてアシストした田中飛鳥(31、ひらまつ病院)も2時間23分45秒で完走している。 結果的に、アテネ五輪金メダリストの野口みずきさんが持つ日本レコードには届かなったが、一山は、「いけるよ、頑張れ、頑張れと引っ張ってくれました」と、2人に感謝の意を伝えた。 そして、川内は「一山選手が最後まで粘ってくれて、最後はペースを戻してくるような走りをしてくれた。ペースメーカーとして日本記録にならなかったが、良かったなと思います。前田選手も早い段階で落ちてきたときからよく粘ったと思う。プレッシャーがかかる中でも2人は大崩れせずワンツーできている。本当に強い2人だと思います。みんなが頑張っているのを見ると、私もまだまだ頑張らないといけないと思う。最近は苦しくなるとガクっと落ちたりするレースが多かったので。苦しくなった時に粘るという心の強さが必要だなと。貴重な経験をさせてもらいました」と大会主催者を通じコメントした。 13キロで前田が脱落。新型コロナ対策で急遽、変更された2.8キロの周回レースは、マラソンというより、一山の記録会のような単調なレースになってしまったが、川内の心憎いまでの奮闘ぶりが、視聴者を楽しませたようである。 レース後はSNS上に称賛の声が並んだ。 男子のペースメーカー起用は日本の女子マラソンにおいて初の試みだった。 日本陸連の尾縣貢・専務理事は「賛否両論あること存じています」と認めた上で「今の状況でいい記録を打ち立ててくれるのには、この手段しかなかった」と弁明した。 当初、海外の女子ランナーをペースメーカーとして招聘する予定だったが、新型コロナの感染拡大の影響で呼べなくなった。 瀬古リーダーも「川内ら5人の男子のペースメーカーには、お礼を言いたい。五輪ということで“チームジャパンで戦おう“と男子を起用させてもらった。世界のマラソンは、男女一緒に走るのが多い。たまたま、この大会と、名古屋も女子だけのレースで、そこに男子が走るのはどうか?とも言われたが、世界では珍しいことではない。19分台も男女混合レースでの記録。女子だけで19分台を出すのは、今のレベルでは難しい。だから、特別に男子を起用した」と補足説明した。 新型コロナ禍という特別な事情も手伝い、応援をシャットアウトし、できるだけ人との接触を少なくするため、長居公園内を“隔離状態”に置いての周回コースに変更、そして男子のペースメーカーの採用という異例のレース形態を採用することになった。 苦しい状況を逆に利用して、東京五輪の前哨戦として、アフリカ勢を軸とした世界のスピード化に対応するための試金石にしたかったのである。だから、瀬古リーダーは「男子が女子を引っ張るのは悪いことですか?」と問いかけた。