寒さを感じ始める「寒露」の頃、意外な「お花」があなたの健康を維持してくれます【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
涼燥の時期に注目したいのは「この時期ならではの花」
涼燥の季節は“身体にうれしい花”の季節でもあるので、今回は菊の花、そばの花、キンモクセイの花を紹介させていただきます。 TOP画像は、菊の花を湯通しして冷凍の下ごしらえをしている写真です。山形県や新潟県などでは菊の花を食べる文化があるようで、ビニール袋いっぱいに詰めた菊の花が1袋200円程度で売られていたのを見た時は驚きました。今年は10月11日が旧暦9月9日でした。中国の陰陽思想では「奇数は陽の数」と捉えていて、奇数で最大の数である9が2つ重なる9月9日は、パワーがあり過ぎるのでお祓いをすることで長寿を祈る節目の日と考えています。この節目の日を、陽の数字が重なるので「重陽の節句」、または菊の花が咲く時期なので「菊の節句」と呼んでいます。 そばの花は、この時期の阿蘇のあちらこちらで目にする花です。阿蘇は湧水の多い水がきれいな場所です。実りを迎えて新そばが出回るのは12月頃でしょうか。今から楽しみにしています。 10月5日・6日に主婦の友社が開催した「ご自愛市」で、私は薬膳茶セミナーの講師として登壇しました。その席でも菊花とキンモクセイをおすすめしましたが、寒露の時期にもやっぱりこの2つは自分と向き合う時間の伴侶としておすすめです。 菊花は熱を冷ます働きに優れています。菊花は、辛い・甘い・苦い、3つの味を持っていて、ぐつぐつ煮込むと苦みが抽出されて身体の中の熱を冷ます働きをします。一方、お湯を注ぐだけならば辛みが抽出されて、毛穴をゆるやかに開く働きをします。空気が冷えて乾燥する涼燥は毛穴が開きにくくなるので、その毛穴をゆるやかに開いて肌を潤わせる働きをします。 キンモクセイは冷え・気の巡り・食欲不振に働きかけます。キンモクセイも味は辛みに分類されます。身体を温める作用もあるので寒さを散らして、毛穴をゆるやかに開いて皮膚を潤わせる働きをします。このように菊花とキンモクセイは、涼燥の時期の身体表面の乾燥に働きかけます。 菊花、キンモクセイともにお茶の原料とするときは、摘んできた花を、蒸すあるいは熱湯をかけるなどした後、乾燥させてはじめてお茶の原料になります。菊花を湯通しすると、部屋中に菊の香りが満ち溢れます。初夏には梅を漬ける“梅仕事”をしますが、重陽の節句の時期に菊の湯通しをする、これは秋の豊かな風物詩に感じます。 涼しい秋になってきました。肺・大腸・毛穴を全体的にケアして、コンディションの整った“秋を楽しめる身体”で冬に備えましょう。
再春館製薬所 田野岡亮太