出場時間90分以下“18人”も…森保Jに差す光 人材不足ポジションと来年期待の選手たち【コラム】
2024年の日本代表で忘れてはならないのが小川航基の台頭
また、層が厚いと思われていたセンターバックも、冨安健洋(アーセナル)が負傷し、谷口彰悟(シント・トロイデン)までも怪我を負ってしまったことで早急に選手発掘をしなければいけない。渡辺や高井がどこまで成長するか、大いに注目すべきポイントになっている。 MF/FWは2チーム分の人材が揃っている。だが、遠藤航(リバプール)、守田英正(スポルティング)の組み合わせが盤石すぎて、この2人を中心に守備も攻撃陣もコンビネーションを合わせてきているため、どちらかの不在が大きく影響してしまう。今年は一度も出場機会がなかった藤田がどこまで成長した姿を見せるかは、日本代表に一番刺激を与えることになるだろう。 出番をあまり掴めていない選手たちの成長がなければ、日本の問題は解決できない。また、この出場時間の少なかった選手たちに加え、来年の飛躍が期待される選手たちがいる。2024年、6月のワールドカップ2次予選終了までと、9月からの最終予選以降で大きく出場時間が違う選手がいるのだ。 町田浩樹(サン・ジロワーズ)は6月11日のシリア戦までの9試合で5試合、330分しか起用されていなかった。だが、9月の中国戦以降は6試合フル出場を続けている。実際のところ、この町田の成長がなければ、9月以降の3バックは破綻していた可能性もある。このままレギュラーを確固たるものにするのか、あるいはほかの選手が戻ってきて控えに甘んじなければならないのか、正念場だろう。 また、毎熊晟矢(AZアルクマール)はタイ戦からアジアカップまでの6試合で5試合、361分起用されていた。3月の北朝鮮戦ではベンチ外になったが、その後は海外移籍したこともあって招集されていない。オランダで成長したどんな姿を見せてくれるのか、楽しみな選手でもある。 そして、2024年の日本代表で忘れてはならないのが、小川航基(NECナイメヘン)の台頭だ。6月までの小川の出場時間は2試合で99分。その後も試合あたりの出場時間は多くなく、6試合に出場したものの、213分しかピッチに立っていない。だが、9月のバーレーン戦、10月のサウジアラビア戦、11月の中国戦での2ゴールと波がなかった。不動のワントップだった上田綺世(フェイエノールト)の座を奪えるのか、2025年に期待が懸かる。 こうして名前を挙げていくだけでも、日本の将来に明るい光が差していそうなことがよく分かる。2025年も日本代表は必ずやさらなる高みにいってくれることだろう。 [著者プロフィール] 森雅史(もり・まさふみ)/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。
森雅史 / Masafumi Mori