ついにイーロン・マスクの世界制覇計画が見えてきた…日本メーカー大打撃、価格3万ドル以下の完全自動運転タクシーの衝撃度
テスラが10月に公表した「サイバーキャブ」は、価格3万ドル以下の完全自動運転タクシー。本当にこれが実現すれば、中国以外の国の自動車生産はテスラに独占され、世界は根本から変わってしまう。トランプ政権の成立で、この事態は現実性を帯びてきたように思える。 【写真】「圧勝」トランプの経済政策で日本の自動車メーカーは大打撃…!
夢のような完全自動運転タクシー
アメリカの自動車メーカー・テスラが2024年10月10日に発表した「サイバーキャブ」は、完全自動運転タクシー。 イーロン・マスク氏は、3万ドル(約450万円)以下の価格で、26年にも生産を開始するとした。10月23日の決算説明会では、およそ2万5000ドル(約375万円)」と語った。この程度の価格なら、通常の車と比べて、あまり大きな差はない。 誰もが、こんなに安い価格で自動運転車が提供できるのかと驚くだろう。 なぜなら、完全自動運転のシステムは、もっと高いと言われていたからだ。現在実用化されている完全自動運転車である「ウエイモ」が使用するシステムの1台当たりコストは、2020年時点で7万5000~10万ドル以上と推定されていた。 したがって、自動運転車は、従来の自動車の価格プラス7.5万~10万ドルということになる。こんなに高い価格では、一般の家計に売ることはできない。 ところが、マスク氏は、サイバーキャブは、現在テスラがアメリカとカナダで提供している運転支援システム「FSD」(Full Self-Driving)を進歩させたものだから、低価格が可能だと説明している。 FSDは、発進や停止、右左折、車間距離の維持などを行なう自動運転システムで、ドライバーによる監視が必要な「レベル2」の水準だ。 FSDは、以前は1万2000ドル(約137万円)で提供されていたが、2024年4月に8000ドル(約91万円)に値下げされた。これを考えると、3万ドルの自動運転車は、不可能ではあるまい。
テスラにとっての最大の問題は規制だったのだろう
自動運転車が広く用いられるためには、次の3つの条件のすべてを満たさなければならない。 第一に、技術的に可能であること。第二に、リーズナブルな価格で提供できること。そして第三に、規制に合格できることだ。 テスラが現在提供しているFSDは、完全自動運転ではない。しかし、完全自動運転は、グーグルの親会社アルファベットの傘下企業であるウエイモが、サンフランシスコ、ロサンゼルス、フェニックスなどで実用化し、提供している。2025年初頭からは、テキサス州オースティンとジョージア州アトランタで、サービスを始める。 完全自動運転を実現しているのは、ウエイモだけではない。アマゾン傘下のZooxも、自動運転車の開発を進めている。近く、ロサンゼルスで一般の乗客向けにサービスを開始する予定だとされる。中国では、百度(バイドゥ)」が、2019年から北京や武漢などで自動運転タクシーを運行している。これらと同じ水準の自動運転をテスラが近い将来に提供できても、驚きではない。 しかし、これらは、第2の条件(コスト面の条件)を満たしていない。 サイバーキャブが第2の条件を満たせば、自動運転車両を一般の家計に売るために残るのは、規制上の問題だけになる。