【風間俊介さんインタビュー/前編】風間俊介さんが自分に「闇」を感じるとき
多方面で活躍しながら、俳優として着実に存在感を増している風間俊介さん。この冬は、2024年11月30日の大阪公演初日から12月28日の東京公演千秋楽まで、全国4カ所の劇場で意欲作に挑戦し、3年ぶりの単独主演を務める。 日本初演となる衝撃作『モンスター』の主人公トムは、経験豊富な彼でも「演じる役者は、のたうちまわる」と形容するほどの難役らしく。とはいえ、この舞台への抱負を語る彼は、なんだかとても楽しそう!
今度の舞台は超コワイ! そして楽しみなんです
「最初は、『モンスター』というシンプルなタイトルに惹かれました。世の中にモンスターという題名の作品は星の数ほどあるけれど、本作は何をもってモンスターと命名し、どんなふうにその姿を描くのか。 初めて台本を読んだとき、直感的に、モンスターというのは日常のどこにでもいる潜在的なものではないか、モンスターという言葉は他者ではなく自分に向くのではないかと思いました。 同時にこれは、客席で観たら最高な作品だけど、演じる役者にとってはすごく大変な高い山だな、と。この役を引き受けた僕は、美しく高い山を登ろうとしているんだな、と。 正直言って今、僕はモンスターに恐れおののいています(笑)」 豊かな言葉を持つ人だ。 風間俊介さんが出演作『モンスター』について語るのを聞いていたら、「この舞台、絶対見逃したくない!」という気持ちが高まっていた。今年の締めの舞台は、これかも。 登場人物は、4人。風間さんが演じる主人公トムは、大企業を辞めて教員という新しいキャリアを始めようとしている。 教育の現場で出会うのが、松岡広大さん演じるダリルという14歳の生徒。一筋縄ではいかないこの問題児への対応に、トムは困惑する。 家に帰れば、トムの婚約者ジョディ(笠松はる)は間もなく出産を控えている。そしてダリルの保護者として登場するのは、祖母のリタ(那須佐代子)だ。物語が進むうちに、トム自身の抱えている問題も、次第に見えてくる。 「僕個人は、4人全員がモンスターだと思っています(笑)。良いところばかりの人間なんていないし、誰でも光と闇を持っている。 僕自身もそうです。 デビュー直後から20代はずっと、ダークサイドを描いた役をたくさんやらせていただきました。30代になってからは、光が当たっているキャラクターを演じることが多くて。 どちら側の役もたくさんやらせていただいたので、良い人の役を演じるときには、『この人の闇はどこなんだろう?』と探すし、悪い人の役を演じるときは、『この人にとっての光はどこなんだろう?』と考えます。 人前に立たせてもらう仕事なので、僕が皆さまの前に登場するときはいつも、光が当たっている面を見ていただくことが多いのですが、それを少し残念に思うくらい、ちゃんと色濃く闇は持っている人間です(笑)。 その闇の部分を垣間見ていただけるのが、演劇だったりドラマだったり映画だったり、僕が俳優としてやっているときなんです」