噛み癖、夜泣き、徘徊…でも愛おしい 21歳で旅立った愛猫ビッケに寄り添った日々
睡眠時間を削ってシニアの愛猫をあやした日々
13歳の頃、ビッケくんの腎臓が弱ってきたことから飼い主さんは飲水量を増そうと、ウォーターボウルを増やしたり、給水器を導入したりと工夫。腎臓や便秘に良いと言われているサプリも取り入れ、健康管理に励みました。 「15歳頃には巻き爪が肉球に刺さりそうになっているのを見つけたので以降、爪のチェックをよくするようになりました」 耳が聞こえにくくなったのは、17歳頃。それに伴って鳴き声が大きくなり、徘徊や夜鳴きも見られるように。飼い主さんはその都度、ビッケくんをあやし、心に寄り添いました。 「だから、亡くなる前の数年間は続けて6時間眠れたことはありませんでした。正直、結構大変でしたね(笑)」 しかし、年を重ねたことで見られた嬉しい変化もあったよう。ブラッシング嫌いから一変し、飼い主さんに被毛のケアを任せるようになったのです。 「まるで『宜しく頼む』という感じ。自分で上手く毛づくろいできなくなったからだと思いますが、できないことをすぐ人に任せる姿勢がすごいなあと思いました」 加えて、性格も丸くなり、隙あらば「撫でて」と催促するように。そんなビッケくんに飼い主さんは毎日「生きていて偉い!すごい!天才!」と伝えました。
21年間のニャン生を謳歌して天国へ
別れは、ビッケくんが21歳になった頃に訪れました。ある日、ビッケくんは急に元気がなくなり、ぐったり。呼吸数が減っていき、2日後にお空へ旅立ちました。 「最期まで噛み癖は治らず、亡くなる数日前に噛まれた手の傷は見送る時も残っていました」 亡くなったのはビッケくんが大好きだった、家族の夕食時。夫婦共に家におり、看取ることができました。 「長生きできたのは、ビッケの生命力のおかげだったと思っています。快食・快便で歯も強く、腸内環境、口腔環境もずっとよかったから…」 寿命だった。そう思えたため、死後に深い後悔に襲われることはありませんでしたが、心に空いた猫型の穴は埋まらず。飼い主さんは、何も手につかない状態になってしまいました。 そこで、始めたのが保護猫団体でのボランティア。もともとインドア派であるため、新しいことに挑戦するのには勇気がいりましたが、この時だけは「新しいことをしなければ!」という気持ちになり、一歩を踏み出したそう。 「ボランティアは、今も続けています。心の穴を感じる時間を作らないという作戦で、ペットロスをなんとか乗り切れた気がする。ビッケを知っている猫友さんと話すことも大きな支えになりました」 どんな時も、あの子の幸せを願えたことが私たちの幸せだった。きっとビッケは、私たちでなければビッケらしく生きられなかっただろう――。そう語る飼い主さんの猫愛は天国にも届いているはずです。 (愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)
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