「 楽天ファッション・ウィーク東京 2025 S/S」若手支援や海外との連携強化で「質」アピール。参加ブランド減少の背景には開催時期の課題も
開催時期の背景には「悩ましい」問題も
一方、参加ブランド数の減少も指摘された。コロナ禍を除き、ファッション・ウィーク東京には毎シーズン50~60ブランド以上の参加が見られたが、前シーズン(43ブランド)から減少が続く。その要因として古茂田氏が挙げたのが、ブランド側の資金的な問題や、海外展への参加だ。特にメンズの有力ブランドは、海外バイヤーに向けて早期にコレクションを披露するため、6月のパリ・ファッション・ウィーク・メンズなどに出展する傾向が強いという。同氏は、「東京展の開催時期が遅くならざるを得ないのは悩ましいが、ファッション・ウィークはパリやミラノなど他都市と開催時期を調整しながら行わなければならない」とし、2月や7月などにブランドをサポートするための取り組みを別途行う可能性も示唆した。 JFWO理事の太田伸之氏も、東京展の開催時期の影響を指摘した。「世界的に見ても、ビジネスとクリエーションの発表はセットで考えるべきだとされるなか、現在の開催時期は、やはり遅い」といい、「できるだけ早く発表し、受注し、いいものをきちんと届けるべきだが、今後、パリ・ファッション・ウィークの開催時期が遅れるといわれている。それが良しとされるかどうかは疑問だが、開催時期については互いに邪魔しないことも大切だ。おそらくこの開催時期については、 これから世界中で色々な論争が起こると私は思っている」と語った。 しかしながらファッション・ウィーク東京において両者が強調したのは、「数より質」の重視だ。古茂田氏は、「(ブランドの)数を取っていくのが目的ではなく、クオリティを重視しながら新しい魅力を追求していく。そのなかで選定したのが33ブランドだったと捉えている」と説明した。 加えて太田氏も、「ブランドからショーをやりたいと相談を受けることが多いが、無理してショーをやるなと言っている。無理して経営破綻してしまってはいけない。また、多くのブランドがパリに出展したいというが、実際に売上の大半を占めるのが、欧州でもアメリカでもなく、アジアのお客様によるものだ。もっとアジアを重視するべきであり、東京のファッション・ウィークもアジア各国と手を結んで事業やクリエーションを発展させていくべきではないか」と話した。 取材・文・撮影/戸田美子
戸田美子