「 楽天ファッション・ウィーク東京 2025 S/S」若手支援や海外との連携強化で「質」アピール。参加ブランド減少の背景には開催時期の課題も
楽天by Rは日本発ブランド「サルバム」を支援
冠スポンサーを務める楽天によるプロジェクトby R(バイアール)は今回、ブランド設立10周年を迎えた藤田哲平デザイナーのサルバム(sulvum)を支援する。その中には楽天ファッション・ウィークでのランウェイショーやパリ・ファッション・ウィーク期間中のパリ旗艦店オープンの記念レセプションパーティーなどの実施が含まれる。また、楽天が運営するファッション通販サイト「Rakuten Fashion」でランウェイショーを一般向けに無料配信する。 同社は2019年8月からby Rを通じて日本発の実力派ブランドを支援してきたが、前の2024秋冬シーズンに初めて海外発ブランド(マリメッコ)を支援したことが話題になった。楽天グループで常務執行役員兼コマース&マーケティングカンパニーのシニアヴァイスプレジデントを務める松村亮氏は、「東京そして日本のファッション業界を盛り上げていくという目的は当初から変わっていない。やり方を固定化してしまうのではなく、ファッション業界のその時々の状況に合わせ、視点や視座を変えながら実施していきたい」と話した。
ファッションビジネスの場としての価値
7日に都内で行われた記者向け発表会。右はJFWO事務局長の古茂田博氏 JFWOがファッション・ウィークにおいて力を入れるのが、若手支援や海外のコンテンツやバイヤーらとの関係強化などを通じたファッションブランドのビジネスの機会創出だ。JFW NEXT BRAND AWARDに加え、今回は、マロニエファッションデザイン専門学校の卒業コレクションを実施する。JFWO事務局長の古茂田博氏は、ファッションを専攻する学生との連携を強める狙いとして、「ファッション業界は人口減少によって若手が減り、若者は専門学校を出てもコロナ禍によってファッション業界に入れないという、もったいない状況がある」と説明。国内外を含めた学生とファッション業界をつなぐ取り組みを強化するとともに、今回の卒業コレクションに関しても、「学生たちのリクルート活動の一環になるよう、新たな発表の方法を考えている」と語った。 前シーズンから招致・開催している仏パリ発祥のファッション合同展示会トラノイ(TRANOi)も継続する。国内外含め約175ブランドの出展を予定しており、おもなターゲットはアジアからのバイヤーだ。ファッション・ウィークとトラノイを回遊してもらうことで、「ビジネスチャンスの広がりを狙う」(古茂田氏)という。 海外からのバイヤーやプレスの招待もコロナ禍後に本格化しており、リアルな記事の発信やバイイング実績の増加を目指す。今回は、ソッツァーニ・ファウンデーションクリエイティブディレクターのサラ・ソッザーニ・マイノ氏やThe New York Times Style Magazine編集長のニック・ハラミス氏、クリエイティブ・ディレクターのニック・ウースター氏を招待する。