俳優・前田敦子が語る仕事観「辛い状況でもハッピーな要素をみつけることが大切」
かつてのアイドルとしての輝かしいキャリアを経て、俳優業へと転身した前田敦子さん。そんな彼女が主演を務める映画『一月の声に歓びを刻め』が2月9日に公開した。 【写真8点】「前田敦子インタビュー前編」の詳細写真をチェック
不安を抱えながら挑んだこの作品を通じて、前田さんが新たに発見した自己表現の可能性とは。
表現のモットーは「困難な状況でも楽しみを見つけること」
「何か希望がありましたら、言ってください」とカメラマンに優しく声をかけた。鮮やかなピンクの衣装を身にまとい、女優としての品格を漂わせながら、前田さんがカメラの前に立っていた。 その凛とした立ち姿は、かつて国民的アイドルとしての彼女の面影を感じさせつつも、4歳の息子を育てる母親としての温かみ、そして俳優としてのキャリアを積み重ねていることが伺える。
約3年前、30歳の節目にアイドル時代からの事務所を離れ、独立。その後は俳優業を中心に活動し、年々多忙を極めている。 「2023年は特に忙しい年でした。ドラマに出させていただくことが多くて。毎回、これでいいのかなと思うことのほうが多いのですが、さまざまな役を演じる機会をいただけるので、自分が求められていることに感謝して、楽しみながら成長していけたらいいなと思っています」。
以前は目標を立てていたが、今は「次にどんな作品に出合えるか、どんな人に会えるか」と流れに身を任せるスタンスを取っているという。 そんな彼女にとって「楽しむ」ことは、表現者としての大切なモットーのようだ。 「若い頃は、暗く深い作品に魅力を感じた時期もありましたが、辛い状況でも、今は楽しいことを見つけることがいちばん大切だと考えています。ハッピーな要素を見つける傾向が年々強まっているかもしれませんね」。
難しいテーマに挑んだ、映画『一月の声に歓びを刻め』
前田さんの主演映画『一月の声に歓びを刻め』が先日公開を迎えた。 本作は、国内外の映画祭でも高い評価を受ける、三島有紀子監督の体験談をもとに作られた。三島監督が47年間封印していた「性暴力と心の傷」という難しいテーマにあえて挑み、心の中に生まれる罪の意識を、静かに深く見つめる映画だ。