秋らしい秋は短く 冬は冬らしく ラニーニャ現象発生時の冬 過去には日本海側で大雪
ラニーニャ現象発生時の冬 偏西風が蛇行しやすいのは何故?
今年8月の太平洋赤道域の海面水温は、西部で平年より高く、東部で平年より低く、ラニーニャ現象の特徴に近づきつつあります。9月10日の気象庁の発表によると、今後、冬にかけて平常の状態が続く可能性もあるが(40%)、ラニーニャ現象が発生する可能性の方がより高い(60%)、とのことです。 ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象です。 ラニーニャ現象が発生している時には、太平洋赤道域で東風が平常時よりも強くなり、西部に暖かい海水がより厚く蓄積する一方、東部では冷たい水のわき上がりが平常時より強くなります。ラニーニャ現象発生時は、インドネシア近海の海上では積乱雲がいっそう盛んに発生します。 ラニーニャ現象発生時の冬は、インドネシア近海の海上で積雲対流活動が活発であることにより、チベット付近で高気圧の勢力が強まることが特徴です。このため、偏西風は北へ押し上げられ、日本付近では平年より南寄りを流れやすいことになります。
2021/2022年の冬 東日本・西日本を中心に低温傾向 日本海側で大雪
2021/2022年の冬は、ラニーニャ現象が発生していました。インドネシア近海の海上で積雲対流活動が活発で、偏西風が日本付近で南に蛇行していました。それだけでなく、東シベリア付近でブロッキング高気圧が形成されたことや、アリューシャン低気圧が平年より西に位置していたことは、今年の冬の予想に比較的似ています。 2021/2022年の冬は、冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が流れ込みやすくなりました。12月下旬以降、東日本や西日本を中心に低温傾向でした。降雪量や最深積雪は、山陰から北海道の日本海側を中心に平年を上回る地点が多くなりました。新潟県津南で、2月24日に最深積雪419ミリを観測し、1989年10月の統計開始以降、年間の1位の値を更新するなど、記録的な大雪になった所もありました。
日本気象協会 本社 白石 圭子