芝公園→羽田空港は料金3倍、アクアラインは4倍…ETC使わない人の「損失」計算してみた
● 東京湾アクアラインは、 現金だとETCの約4倍の料金に! さらにETC向けの割引があまりにも大きく、非ETCで利用することが現実的ではない路線もあります。それは瀬戸内海を渡り本州と四国をつなぐ「本四架橋」および神奈川県川崎市と千葉県木更津市をつなぐ「東京湾アクアライン」です。 本四架橋は「西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)」「瀬戸中央自動車道(瀬戸大橋)」「神戸淡路鳴門自動車道」の3ルートが供用されていますが、全線をETCで通行したときの通行料金(普通車、以下同)は、それぞれ平日2950円/休日2310円、平日2310円/休日1990円、平日3340円/休日2670円です。しかし非ETCでは平日休日問わず4920円、4300円、5710円になります。 東京湾アクアラインでは、その差はさらに顕著です。ETCは「ETCアクアライン割引」により800円(休日の上りは「ETC時間帯別料金」により600~1200円)なのに対し、非ETCは3140円と、約4倍の差にもなるのです。
● なぜ「ETCだけの割引」が 増えているのか? 一方、首都高速、阪神高速のような都市高速道路では、料金計算の仕組みの違いにより、ETCと非ETCの通行料金に大きな差が生まれています。 これらの高速道路は建設当初から一定の期間、均一制もしくはゾーン制の料金制度を採用し、入口料金所もしくは本線料金所で通行料金を“前払い”する方式を採用していました。その背景にあったのが、都市部に建設する高速道路には出口料金所を設ける十分なスペースがない、出口料金所で料金を収受すると渋滞の原因になるといった事情です。 しかしETCの採用で、それぞれのクルマが「どの入口から流入し、どの出口で流出したか」が分かるようになったことで、これらの都市高速道路は走行した距離に応じて通行料金が決まる「距離料金制」へと移行しました。ただこの時、経路情報が分からない非ETCについては「その入口から走行できる最長経路の通行料金を支払う」ことになったのです。 首都高速を例にとると、ETCでの通行料金は下限300円~上限1950円(普通車通常料金、以下同)の範囲で、距離に応じて増減します。しかし非ETCでの通行は、原則としてETCでの上限料金と同じ1950円です。 例えば都心環状線芝公園から流入し、湾岸線空港中央で流出すると、料金計算上の走行距離は17.7kmで、ETCでの料金は600円です。しかし同じ区間を非ETCで走行すると、通行料金は1950円と、3倍以上となってしまうのです。 また首都高速、阪神高速にも、NEXCOの高速道路同様にETC限定の割引があります。代表的なものは首都高速の「外環道迂回(うかい)利用割引」、阪神高速の「大阪都心迂回割引」で、いずれも「遠回りしても料金面で不利にならないよう、最安となる通行料金で計算する」という仕組みを採用しています。こうしたケースでは、非ETCとの差はさらに開くことになります。