千葉ロッテ・吉井理人監督が語る、選手が「臆さずに意見を言える環境」を作る重要性
「とにかく、ピッチャーをひとりにしないでほしい」
スタッフ部門だけでなく、選手間でも意見を言い合える環境もつくりたい。ピッチングコーチ時代、内野手にこうお願いしていた。 「ピッチャーの様子がおかしいと気づいたら、マウンドに行ってあげてほしい」 言うべきことがあれば言い、声をかけなくてもいい。 「とにかく、ピッチャーをひとりにしないでほしい」 試合進行の遅延を避けるため、キャッチャーが試合を中断してマウンドに行ける回数は決まっている。困っているとき、雰囲気や流れが悪いときは、少しでも時間を取ってくれるとピッチャーの心理負担は変わる。その役割を、キャッチャー以外にも担ってほしいという狙いがあった。 勝利という目的のために、選手個々ができることを持ち寄る。そのためには、勝利という目的のために最適な行動を、主体的に考えて編み出さなければならない。そのとき、違う意見がぶつかり合うこともある。その衝突は、目的に向かって主体的に考えている証である。 そのような経験を繰り返していくと、野手が投手の置かれた状況や気持ちを理解するようになっていく。最終的には、監督が何も指示しなくても、ファースト、セカンド、ショート、サードがマウンドに行き、最適な声がけができるようになっていく。 衝突することが最適であれば、喧嘩をすればいい。優しく声をかけて落ち着かせるのが最適であれば、それをやればいい。 何が最適か。それを一人ひとりが主体的に考え、実際に行動できるようになってほしい。その域に到達するまでは、監督が選手を導く必要がある。
吉井理人(千葉ロッテーマリーンズ監督)