初心者の方におくる、スマートウォッチを選ぶときに確認したい10のこと
いまやスマートウォッチの基本機能は横並びの状況。どの機種もスマホと連携して使えて、心拍数・血中酸素レベル・睡眠などをモニタリングでき、毎日の運動の計測・記録もできます。もちろん、性能には差がありますが、“初めてのスマートウォッチ” としては、どの機種を買っても満足できること請け合い。 【画像】ガーミンのスマートウォッチは高精密なGPS性能に定評がある。これはフラッグシップGPSウォッチ「fenix 8」 しかし、より満足度を高めるには、自分の用途・目的に合ったウォッチを選ぶことが大切です。ここでは、普段からいろいろなスマートウォッチを使い比べている筆者の視点で、スマートウォッチを選ぶときにチェックすべき10のことを提言させていただきます。 ■ 01.GPSが内蔵されているか? ランニング、ウォーキング、サイクリングなどを日課としている人には、GPSが搭載されているモデルを選ぶことをおすすめします。スマホを携帯していなくても、スマートウォッチだけで経路、距離、速度などが記録されます。現在発売されているスマートウォッチのほとんどがGPSを搭載していますが、安価なスマートバンドには搭載されていない場合もあるので注意しましょう。 位置情報の精度はモデルによって差があります。位置情報を取得する衛星システムはGPSのほかに「みちびき」「Galileo」(ガリレオ)「GLONASS」(グロナス)などがあり、多くのシステムに対応しているほうが精度が高いとされます。また、2つの周波数帯で受信する「デュアルバンド」に対応しているか否かも精度を見極めるポイントとなります。 登山をする人は、山の地図データをダウンロードできるか否か、来た道を戻るガイドを表示するルートバック機能の有無などもチェックしておくべきでしょう。 ■ 02.Suicaなどの決済サービスが利用できるか? SuicaやPASMOなど、交通系のICカードに対応していると、いちいちスマホを取り出すことなく、買い物ができ、電車やバスに乗れます。使える場所が増えてきたクレジットカードのタッチ決済にも対応していると、より便利です。 今のところ、決済機能が最も充実しているのはApple Watch。交通系ICカードはSuica、PASMO、ICOCAに対応。iDまたはQUICPayに対応しているクレジットカードを登録して、タッチ決済も利用できます。さらに、電子マネーのnanaco、WAONにも対応しています。 Google Pixel Watchは、交通系ICカードはSuicaのみに対応。クレジットカードはVisaタッチ決済、Mastercardタッチ決済、iD、QUICPayに対応しています。なお、Google Pixel Watchと同じ「Wear OS」を搭載するGalaxy Watch7もSuicaやクレジットカードのタッチ決済に対応しています。 ガーミン、FitbitなどのスマートウォッチにもSuicaが利用できる機種があります。ただし、スマホに登録したSuicaとは別のSuicaを登録する仕組みになっています。Suicaが使えれば十分という人は、そちらのモデルも選択肢に加えるといいでしょう。 ■ 03.着信した電話に応答できるか? ペアリングしたスマホに電話がかかってきた場合、スマートウォッチにも着信が通知されます。ウォッチにスピーカーとマイクが搭載されていて、Bluetooth通話に対応していれば、スマホを取り出すことなく、応答できます。現在発売されているスマートウォッチは、ほとんどの機種が対応していますが、スマートバンドは対応していない場合があるので、購入前に必ず確認しましょう。 スマートウォッチよりもスマホのほうが通話しやすいので、Bluetooth通話機能は必須とは言えません。ですが、スマホをバッグに入れていると取り出すのに時間がかかり、その間に電話が切れてしまう恐れもあります。スマートウォッチで即座に応答できれば、慌てることなくスマホを取り出して、スマホでの通話に切り替えられます。電話利用が多い人には、あったほうがいい機能といえるでしょう。 ■ 04.スマホがなくても電話を発着信できるか? 先に挙げたBluetooth通話は、あくまでもスマホの子機として機能です。スマートウォッチがスマホと接続されていないときや、スマホが圏外あるいは電池切れの場合は、スマートウォッチでは通話できません。 スマホと接続せずに、スマートウォッチ単体で通話をするには、モバイル通信対応モデルを選ぶ必要があります。Apple Watchなら「GPS+Cellularモデル」、Google Pixel Watchなら「4G LTE + Bluetooth / Wi-Fiモデル」を選びましょう。Galaxy Watchも「LTEモデル」が用意されています。 これらのスマートウォッチは、携帯電話会社が提供する電話番号シェアサービスを利用できます。ドコモは「ワンナンバーサービス」(月額550円)、auは「ナンバーシェア」(月額385円)、ソフトバンクは「Apple Watch モバイル通信サービス」(月額385円)と「ウェアラブルデバイス モバイル通信サービス」(月額385円)、楽天モバイルは「電話番号シェアサービス」(月額550円)という名称で提供されています。これらのサービスに加入すると、通話のほかに、メッセージの受信、音楽のストリーミングなど一部のデータ通信も利用でます。 なお、ソフトバンクの「Apple Watch モバイル通信サービス」はApple Watchのみ、「ウェアラブルデバイス モバイル通信サービス」はGoogle Pixel Watchのみ、楽天モバイルの「電話番号シェアサービス」はApple Watchのみの対応となっています。 ちなみに、ファーウェイの「HUAWEI WATCH 4」もスマートウォッチ単体での通話に対応しています。ただし、電話番号シェアサービスは利用できず、新たに回線を契約し、eSIMをインストールして使う仕組みになっています。不便と思う人が多いかもしれませんが、ウォッチ専用の電話番号を持ちたい場合には便利です。 ■ 05.音声アシスタントに対応しているか? スマートウォッチにはキーボードを表示できる機種もありますが、画面が小さく、タッチ操作がしづらいのが実情。よって、音声で操作をしたり、文字を入力したりできる機能があると便利です。 Apple Watchは「Siri」、Google Pixel WatchとGalaxy Watchは「Googleアシスタント」を利用可能。どちらも、スマホで使う場合と同じ感覚で使えます。スマホでそれらの機能を使っていなくても、スマートウォッチでは「今日の天気は?」「タイマー3分」などと話しかけて活用している人が少なくないようです。あって損はない機能といえるでしょう。 なお、ガーミン、Fitbit、Amazfitなどのメーカーは、Amazonの音声アシスタント「Alexa」に対応するモデルを用意しています。普段、Alexaを使っている人は、Alexa対応のスマートウォッチを選ぶといいでしょう。 ■ 06.LINEはどこまで使えるか? 家族や友人との連絡手段として「LINE」を使っている人は多いでしょう。その場合、スマートウォッチでのLINEの使い勝手もチェックすべきです。 どの機種でもLINEの通知をオンにしておけば、メッセージ(トーク)を受信すると通知されます。発信者とメッセージの文頭が表示されるのが一般的。しかし、メッセージの全文を読んだり、返信したりするには、スマホを取り出して「LINE」アプリを操作する必要があります。 スマートウォッチで返信まで行うには、スマートウォッチ向けの「LINE」アプリが必要です。これをインストールできるのはApple WatchとGoogle Pixel Watch、Galaxy Watchに限られます。 ■ 07.充電はときどきで済むか? スマートウォッチの電池持ちは機種によって大きく異なります。毎日の充電が必要な機種がある一方、1~2週間に一度で済む機種もあります。旅行や出張が多い人は、バッテリー持続時間が長いほうが安心です。 バッテリー持続時間が短いウォッチの代表は、Apple WatchとGoogle Pixel Watch。Apple Watchの多くのモデルのバッテリー持続は最大18時間。ただし、最新のSeries 10は低電力モードで最大36時間持つようになっています。また、Apple Watch Ultra 2は通常で最大36時間、低電力モードで最大72時間の電池持ちを実現しています。 Google Pixel Watch 3のバッテリー持続は、常時表示で最大24時間、バッテリーセーブモードで最大36時間となっています。また、Google Pixel Watch 3と同じ「Wear OS」を搭載するGalaxy Watchも電池持ちは短めです。 そのほかのメーカーのスマートウォッチの電池持ちは長め。たとえば、ファーウェイのHUAWEI Watch GT 5(46mm)のバッテリー持続時間は通常使用で約14日間、ヘビーユースで約9日間となっています。シャオミのXiaomi SmartBand 9は、通常使用モードで最大21日間。GARMINのスマートウォッチのバッテリー持続時間は機種によってかなり差がありますが、フラッグシップのfenix 8シリーズには、ソーラー充電対応で、約48日間の電池持ちを見込める機種もあります。 ■ 08.使ってみたい機能が搭載されているか? 自分の趣味やライフスタイルに合った機能が搭載されているかどうかも要チェック。ヘルスケア機能では、心電図、血圧計、体組成計は、まだ一部の機種にしか搭載されていません。心電図(ECG)機能は、複数のメーカーが搭載していますが、2024年12月現在、日本で医療機器として承認されているのはApple Watchのみ。血圧計は、ファーウェイのHUAWEI WATCH Dが承認されています。体組成計はGalaxy Watchの一部機種が搭載しているほか、AmazfitのAmazfit Balanceも搭載しています。 スポーツ系の機能で進化しているのがダイビング。Apple Watch Ultra 2は水深40mまでのレクリエーションダイビングに対応。HUAWEI WATCH Ultimateは最大水深100メートルのフリーダイビングに対応しています。ガーミンは200mの防水性能を有する「ダイブコンピューター」という製品をリリースしています。ダイビングをサポートする多彩な機能が搭載されていますが、普段はスマートウォッチとして使えます。 ファーウェイはゴルフ機能に力を入れていて、日本だけでなく海外のゴルフ場マップもダウンロードして、スコアアップのためのナビゲート機能を利用できる機種を発売。また、ガーミンもゴルフに特化したスマートウォッチを発売しています。 ■ 09.必要なアプリを追加できるか? 必要な機能をあとから追加できるスマートウォッチもあります。Apple Watchは、iPhoneと同じようにApp Storeからウォッチ向けのアプリをダウンロードして追加できます。Google Pixel WatchとGalaxy WatchはGoogle Playストアからアプリをインストールできます。 たとえば、電卓やボイスレコーダー、リマインダー、決済アプリなど、必要なアプリを追加することでスマートウォッチの使い勝手は向上します。 ただし、スマートウォッチの用途が通知や健康管理だけであれば、プリインストールされているアプリで十分。アプリを追加することで逆に電池持ちが悪くなる恐れもあります。 ■ 10.専用アプリは使いやすいか? スマートウォッチの初期設定やヘルスケアデータの管理には専用アプリを使いますが、使い勝手には結構差があります。しかし、実際に使ってみないとわからないことで、使う人によって評価が分かれるので、見極めるのは難しいです。各社のサイトでアプリの画面例を見たり、実際に使っている人のレビューやクチコミなどを参考にしたりするしかありません。 なお、iPhoneはApple Watch、AndroidスマホはGoogle Pixel Watchと組み合わせて使うのが最適と思う人も多いでしょう。実際、それぞれの親和性は高いのですが、アプリの使い勝手は必ずしもよいとは言えません。 Apple Watchを使うには、設定を行う「Watch」アプリと運動データを記録する「フィットネス」アプリが必要。また、モニタリングされた健康データは「ヘルスケア」アプリに記録されます。これらのアプリはiPhoneにプリインストールされていますが、機能が3つのアプリに分散されているので、使いにくく感じる人もいるでしょう。 Google Pixel Watchは、「Google Pixel Watch」アプリで各種設定を行います。ヘルスケアデータは「Fitbit」アプリで管理します。Google Pixelスマートフォンには、これらのアプリがプリインストールされていますが、その他のAndroidスマホでは自分でインストールする必要があります。 ガーミン、ファーウェイ、シャオミなど、メーカー独自のOSを採用するスマートウォッチでは1つのアプリで全てを管理するのが主流。Apple WatchやGoogle Pixel Watchよりもシンプルでわかりやすいとも言えます。 スマートウォッチはファッションアイテムでもあるので、好みのデザインを選ぶことも大事。自分に必要な機能の有無を確認した上で、長く愛着を持って使える1本を選んでくださいね。
ケータイ Watch,村元 正剛