「人間が考えられる絶望をすでに超えた」 ガザ地区では子どもが狙われ殺されている【報道1930】
バルトフ教授は、原因の一つとして軍隊で非常に宗教的で右派的な教育が進んでいることだという。そのため若者が右傾化しているという。ただ、今イスラエル国内の雰囲気は若者だけでない。バルトフ教授は友人からかけられた声がショックだったという。 オメル・バルトフ教授 「私はイスラエルで生まれイスラエルで育ちました。学校も大学もイスラエルで通い軍務にも就きました。私がこれまで付き合ってきたのは考えが近いはずの人たちでした。そんな彼らが、私がそこに住んでおらず10月7日を経験していないとして自分たちの心情など分からないと言ってきたのです…それは私にとってこれまでにない経験で右翼の若者に出会うことよりも衝撃的でした」 いまバルトフ教授は、イスラエルの反撃は最初からジェノサイド作戦だったのではないかと思っているという。 ■「我々は約束の地を手放してはいけないんだ」 一体出口はどこにあるのだろうか…。イスラエル側が考えていることの一端が明らかになった。 今年9月イスラエルの退役軍人らがある計画を提案した。ガザ北部の『将軍たちの計画』と呼ばれるものだ。 ガザ北部から住民を強制非難させ、残ったものはハマスと認定。その後北部の食糧・水などの供給を停止し完全封鎖し、飢餓状態に追い込み完全に殲滅するというものだ。 さらにイスラエル・スモトリッチ財務相は「人質が無事に戻らない場合は我々はガザ北部の主権者となり永遠にとどまるだろう」と述べたという。 2005年にガザから撤退したイスラエルだが、この流れを見ると再占領を狙っているようにも見える。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)でも活動した経験を持つイスラエル・パレスチナ情勢が専門の立山名誉教授は「まさにその通りだ」と答え、続けた…。 防衛大学校 立山良司 名誉教授 「その計画の中心となった人物は去年の秋にはすでに“ガザは人が住めないようにすればいい”って言ってた。それで何人かの退役軍人とでこの『将軍たちの計画』をあくまで私的な政策提言として出したんですが、ネタニヤフ首相がこれに飛びついたような感じです。 2005年に入植者がガザ地区から撤退した。これは失敗だった。我々は約束の地を手放してはいけないんだ。もう一回ガザをイスラエルの支配下に置くんだっていう意識が強くなってきていて…それが現在のガザ政策になっていて、それを民衆も支えてる」
“約束の地”という言葉が出てしまうと、宗教が薄い日本人にはなかなか理解が及ばない世界になってくる。間もなく訪れるトランプ時代、イスラエルがますます活気づくこと想像するに難くない。注視していきたい…。 (BS-TBS『報道1930』11月21日放送より)
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