「人間が考えられる絶望をすでに超えた」 ガザ地区では子どもが狙われ殺されている【報道1930】
マモート医師は英国紙の取材に「遺体がバラバラなので70㎏分(の肉片)を集め1人と数えた」と答えている。 証言を聞いて明治大学の特任講師ハディ ハーニ氏は「筆舌に尽くしがたいが、今に始まったことではない」と前置きして語る。ハディ氏はパレスチナ人と日本人を両親に持つ。 明治大学 ハディ ハーニ特任講師 「今回の10月7日以降のガザへの攻撃は第5次。これまで少なくとも4回ガザに対する大規模な攻撃が行われ、その度に国際的な人権団体や監視団が民間人への意図的な殺害などを報告してきた。それを国際社会が放置してきた結果がこれなんだろうなぁと…」 ■「私は今日のことしか考えられない…。絶望感はすでに限界」 今月16日、食糧支援物資を積んだトラック109台がガザ地区に入った。しかし無事に目的地まで到着したのはわずか11台だった。途中略奪に遭ったのだ。 ガザで活動する医師もう一人は日本人だ。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の保険局長を務める清田明宏氏は、略奪も一様に責められないという…。 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) 清田明宏 保険局長 「本当に厳しい状況の中でちょっとしか入ってこない食料を略奪する、あるいは高価で売るということを現地の人たちのせいにするのは非常に酷だと思います。(中略―――物資不足は)危機的でして、例えば暑い夏で湿疹が出る、あるいは熱が出て解熱剤は必要である…。その人たちに処方する薬がない。 我々はいったい何をやってるんだっていう非常に悔しい思いをしています。我々既に薬は購入していて、ヨルダン、エジプトに在庫を置いていて、きちんと運べる時をまっているんです。平均で9か月以上の薬の量を確保している。例えば全部搬入できたら明日から薬の枯渇は全くなくなるんです」 食料も薬の輸送できずに物資不足が続く。略奪したものを高値で売ることで卵一個1500円ということもある。 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) 清田明宏 保険局長 「ある人が言ってたんです。私は今日のことしか考えられない。明日のことは考えられないって…。つまりそんな余裕もなければ、考えたとしても何も解決できない。だったらもう今日のことしか考えない。絶望感はすでに限界…人間が考えられる絶望をすでに超えていて、絶望感すら感じないように過ごしているのではないかなぁと…。このようなことが21世紀の世界で起こっていいのかと非常に強く思います」