札幌ドーム時とは収益が雲泥の差!野球の試合がない日でも「エスコンフィールド」に人が集まる「明確な理由」北海道への経済効果は年1000億円
「都心最後の一等地」の行方
エスコンフィールド北海道の成功を眺め、筆者が期待しているのは「都心最後の一等地」の行方だ。築地市場の豊洲移転後、注目されていた跡地再開発の計画が2024年5月に発表された。「ONE PARK&ONE TOWN」をコンセプトとする計画によれば、再開発エリアの中心は最大5万人を収容する多機能型スタジアムが担う。 事業者が5月に発表した計画を見ると、スタジアムは野球やサッカー、コンサートの開催などを想定し、用途に応じて8つの形に変化できるようにするという。約19万平方メートルを活用し、総事業費9000億円に上るビッグプロジェクトにはスタジアムの他にも、ライフサイエンス・商業複合棟、MICE・ホテル・レジデンス棟、舟運・シアターホール複合棟など合計9棟が完成予定だ。 スタジアムは世界屈指の可変性と多機能性を備え、2万~5万7000席に可変できる屋内全天候型施設で、シーンによって観戦・体験環境を整え、最先端デジタル技術と音響・演出装置が臨場感・高揚感・没入感を提供する計画という。エリアには隣接する築地場外市場と連携し、江戸前の食文化を提供する空間や「食文化の発信拠点」なども設ける。海外からも人気が高い「築地ブランド」がFビレッジのような新拠点であらためて評価されるのであればワクワク感が増す。
巨人オーナー山口寿一氏「移転するという前提ではない」
筆者が注目するのは、プロ野球・読売ジャイアンツ(巨人軍)が築地を本拠地にするのか否かである。本拠地の東京ドームは老朽化が課題になっており、日本ハムが札幌ドームから移ったように「築地・巨人」誕生を期待する声は根強い。仮に巨人が築地を本拠地にすれば、地域の集客力は一層増すことになるだろう。 5月の記者会見で巨人オーナーの山口寿一氏は「移転するという前提ではない。(再開発の事業者としては)スポーツ、音楽、文化などの発信に貢献するスタジアムとして提案している」と述べるにとどめている。ただ、その際に触れた言葉で筆者が気になるのは「魅力的なスタジアムを使ってみたいという気持ちはある」というものだ。さらに山口氏は「球団の本拠地移転は大仕事。相当な調整が必要で読売新聞だけで決められることではない」とも語っている。 もちろん、その時点で決まったものはないかもしれない。ただ、普通に考えれば本拠地が老朽化すれば、どこかに移転する必要がある。その際に築地再開発が進んでいれば、魅力的な多目的スタジアムを活用しない手はないだろう。
紛れもなく、都内最大規模の再開発事業
何より、巨人としても地元としても「築地ブランド」の活用、さらなる集客力アップは望ましいはずだ。 スタジアムを含む施設は2032年度に完成予定という。再開発エリアは、東京駅と臨海部を結ぶ臨海地下鉄の新駅や首都高晴海線出口との接続、観光・通勤の舟運ネットワーク拠点、次世代モビリティやバスなどが乗り入れる交通ターミナルなどの整備も計画されている。紛れもなく、都内最大規模の再開発事業だ。 都心最後の一等地は、魅力ある拠点として地域をにぎわす経済効果を創出できるのか。まだ再開発事業の全貌は見えないものの、北海道で成功したFビレッジのような新たな拠点となることを期待したい。
佐藤健太
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