知識ゼロからのアプリ開発で今や利用者100万人 大阪・堺市職員 水道料金支払い便利に
さらにデータ入力、電話対応、引越した人の請求書などアプリで対応可能となり、事務作業が大幅に削減されたという。「人手不足のなか、これまでと同じやり方ではやっていけない」と郷田さん。
こうした実績から3年度には日本水道協会の「水道イノベーション賞大賞」を受賞。ことしは愛知県豊田市や神戸市の水道局の職員から推薦されて「地方公務員アワード2024」を受賞した。「こんなのまでいただけるとは」と照れ笑いするが、水道行政の専門家の評価は高い。
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郷田さんは今年3月以降、毎月能登半島地震の被災地にボランティアに出かけている。地震直後、堺市から給水班として石川県穴水町に派遣されたことをきっかけにボランティアを始めた。「われわれは数日ですが、現地ではずっと何千人もの人が困っている。一度見てしまうと…」と月1、2度は約400キロの距離を車で飛ばして現地に赴く。9月21日の豪雨被害は石川県珠洲市の避難所で体験し、押し寄せる洪水の動画をX(旧ツイッター)で配信してメディア取材も受けた。
さらにマンホールのカードや写真を収集する日本有数の「マンホーラー」でもある。毎年1万人以上が参加するという「マンホールサミット」でレジェンドマンホーラー6人に選ばれ、講演を行っている。こちらも仕事でマンホールカードの作成に携わったところから、のめり込んだ。
水道アプリ、給水活動からボランティア、マンホール。共通するのは上下水道行政を突き詰める行動力。今後について尋ねると「人口減少で水道料金の収益は厳しくなっていくなか、これからもコスト削減にチャレンジしたい」と力強く答えた。(中野謙二)