最近増加する「第三者管理マンション」選びで失敗しないための5カ条とは
理事会の機能不全が外部の専門家に管理を委ねる道を開く
誰もが自分のマンションで快適に暮らしたい、マンションの資産価値をできるだけ保ちたいと思うものだろう。当初はマンションの管理への関心が高かったとしても、30年、40年と住み続けると、所有者も60代や70代と高齢になっていく。 マンション自体も30年、40年たてば老朽化が進み、大規模な修繕工事を繰り返すことになる。修繕積立金で工事費用がまかなえればよいが、不足する場合は必要な工事を先延ばしにしたり、不足する額を徴収したりといった検討をすることになる。 管理組合員の高齢化とマンションの高経年化、これが「マンションの2つの老い」だ。理事会として解決すべき課題が複雑になる一方で、高齢化などによって理事会の役員になれないという人が増えていく。理事会の担い手不足は、理事会の機能不全につながり、管理組合の運営そのものが困難になるリスクを抱える。 そこで、国土交通省は、理事会に外部の専門家を参加させて、理事会の役員の負担を減らそうという動きに出た。
管理業務を受託している管理会社は外部専門家の想定外だった
国土交通省では、まず、理事会の役員は区分所有者に限定するという項目を緩和した。次いで、「マンション標準管理規約」などを改正して、マンションの管理を外部の専門家に委託する手法を提示した。そのための「外部専門家の活用ガイドライン」を作成したのは、2017年のこと。 国土交通省が提示した、外部専門家活用のパターンは3つあるが、このときに主流とされたのは、「理事会の役員を外部専門家に委託する」もの。副理事長や監事などに外部専門家が就任して、理事会として判断すべき課題や判断基準などを提示すれば、理事会の負担は軽くなる。外部専門家が理事長=管理者となる場合も想定されている。 すでに理事会が機能不全に陥っている場合は、「外部専門家が管理者となり、管理組合は総会でそれを監督する」パターンもある。理事会を設けない代わりに、区分所有者から「監事」、あるいは監査法人などの外部監査により外部専門家を監視したり、管理組合の総会が監視したりする。 ただし、このとき国土交通省が外部専門家として想定していたのは、マンション管理士や弁護士などだ。ところが、管理組合から管理業務を受託する管理会社が、外部専門家として管理者となる事例が増加している。この想定外の実態に対して、国土交通省が2024年にガイドラインを改定したのが、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」だ。