【ABC特集】“オシャレする喜び届けたい!” 移動美容室「ヘアサロンカー」が障害者や要介護者の自宅を訪問
(ここねさん)「散髪がんばっているから、最後までがんばる」 (安大さん)「すぐ終わるからな」 少しずつ成功体験を積み重ねていく、その過程に寄り添いたいという安大さん。 (安大さん)「最初はおうちでのカットから始まって、この訪問トラックのカットになって、最終的には僕の店舗の方に利用者様が一人で来られる環境が作れたらベストかなって思っています」
「毎月の楽しみに」安大さんの訪問が心の支えになっている人も
加古川市に住む、畑竜一さん(57)です。畑さんが、体に異変を感じたのは3年前。 (妻・仁美さん)「最初は左手がちょっとしびれた感じになって、そのときは誰にも言ってなくて。本人もちょっとしたことですぐ治ると思ってたんですね」 しかし、半年近く経っても症状は治まらず、下された診断はALS(筋萎縮性側索硬化症)でした。全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病で、1年が経つころには自力で歩くことができなくなりました。
(妻・仁美さん)「進行が早いので、いろんなことができなくなっていくスピードも速くて、たぶん気持ちがついて行けてない感じですね」 ハーレーでツーリングをするのが趣味だったという畑さん。病気を発症するまでは、建築関係の会社を経営する傍ら、少年野球チームで監督を務めるなど精力的に活動していました。
(妻・仁美さん)「今まで好きなことをやらせてもらっていて、こんな病気になってしまって、妻には何も恩返しできないままですごく残念と書いてくれているんですけど、それはもう仕方ないことやから」
安大さんが、畑さんの元を訪れるのはこの日で11回目。ベッドの上で髪が散らないよう、機械で吸い込みながら刈り上げていきます。 (安大さん)「後ろは暑いからちょっと短くしておくね」
トップの長さは残しつつサイドは短くカットしました。しかし、これで終わらないのが安大流。バリカンを使って模様を入れていく安大さん。 (安大さん)「毎月こうやってライン入れとったら、気分転換になるよね」 (仁美さん)「今動けなくなって、何もできない中で・・・」 (安大さん)「それでも髪の毛って、大事ですよ」
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