ピアニスト・小原孝 コロナで台無しデビュー30周年、ポジティブ思考で切り抜ける
「練習時間が増えた」コロナ禍でもポジティブな姿勢
デビュー30周年がコロナ禍になってとんでもないことになってしまった、と笑う小原氏だが、今年がどんな年だったのか、その答えもすぐには出ないのかもしれない。 「アルバムも通算50枚目、年齢も還暦と、ひとつの区切りの年だったのですが……公演などはすべて中止、こんな最悪の状態になるとは予想もしていませんでした。最高の30周年にしようと思って何年か前から計画していたことがまったくできなくなった。ただ、新しい時代の音楽のあり方みたいなものを考えるきっかけになった、というのはありますね。僕で言えばYouTubeチャンネルを始めたし、YouTubeライブにも挑戦したり、いままでならしなかったようなことを始めました。セミナーとか大学の講義もオンラインでやらなければいけない状況になった。これまではできないと思っていたことが、やらざるを得なくなった。これが次のステップへの広がりにもなると思うんです」 当然、大きな打撃を受けているし厳しい状況だが、良かった点もあるという。 「練習時間が増えました。仕事が増えるほど練習時間って減るものなので、そこがいつもストレスになっていたのですが、演奏会ができなくなって、なかなか練習できなかった曲や新しい曲のアレンジなどができる。自分の時間って大事なんだな、とあらためて思います。YouTubeなどネットでの展開もそうですが、この状況から抜け出せて演奏会がまたできるようになったとき、コロナ禍で始めた活動で僕を知った人たちに演奏会にお越しいただけるようにしたい。そのためにも、いま何をどう発信していくかが大事です。ピンチをチャンスにしたいんです」 あくまで姿勢はポジティブだ。 (取材・文:志和浩司)