ウォーキングだけでは<寝たきり>を防げない。「心肺機能を鍛えたとしても筋肉が…」理学療法士が解説
厚生労働省が公開している2020年の「介護保険事業状況報告」によると、施設に入所している<寝たきり>の人は300万人以上もいるそう。そのようななか、高齢者のリハビリを20年以上続けてきた理学療法士の上村理絵さんは「老化することを最後まであきらめなければ、回避できる寝たきりもたくさんある」と話します。そこで今回は、上村さんの著書『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』から、老化に負けない元気な体を手に入れる方法を一部ご紹介します。 【書影】高齢者のリハビリを20年以上続けてきた専門家が教える、老化に負けない元気な体を手に入れる方法。上村理絵『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』 * * * * * * * ◆ウォーキングだけでは、「寝たきり」は防げない 寝たきりにならないために、「肉体的な老化」を予防、改善するために何をすればいいのでしょうか。 「いつまでも元気な体づくりで何をやっていますか?」という質問をしたときに、真っ先にあがるのがウォーキングです。 スポーツ庁が発表した、令和元年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」でも、60代、70代の高齢者が「初めて、もしくは久しぶりに再開した運動」の1位は「ウォーキング」でした。 皆さんのなかでも、「1日8000歩を目標に歩くようにしている」という方は少なくないのではないでしょうか。 しかし、残念なお知らせがあります。 項目のタイトルにもあるように、ウォーキングだけをしていても、寝たきりは予防できません。
◆ウォーキングで鍛えられるもの もちろん、ウォーキングにもメリットはあります。 健康長寿のために、ウォーキングをすること、できるだけ電車やタクシー、車などの移動手段を使わないようにしたり、なるべく階段を使ったりすることはとても大切です。 ただ、ウォーキングで鍛えられるものと、寝たきりを予防するために鍛えなくてはならないものが違うのは事実です。 ウォーキングで鍛えられるのは、主に心肺機能です。 心肺機能が鍛えられると、身体活動量の増加につながり、血液の循環がよくなることで、結果として生活習慣病の予防に役立つと考えられています。 生活習慣病を予防するのはもちろん大切なことですが、極端にいうと寝て起きる動作に心肺機能は、さほど関係ありません。
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