ウォーキングだけでは<寝たきり>を防げない。「心肺機能を鍛えたとしても筋肉が…」理学療法士が解説
◆筋肉には種類がある また、一口に筋肉といっても、種類があります。 私たちが一般的にいうところの筋肉は、筋繊維という非常に細かい束が集まり、構成されています。 そして、その筋繊維は、その特性によって、速筋繊維と遅筋繊維の大きく2種類に分かれており、どちらの筋繊維が多いのかは部位や人によって異なります。 速筋繊維は、収縮するスピードが速く、大きな力を発揮できる反面、持久力は低いです。そして、鍛えることで、太くなります。 もう1つの遅筋繊維は、速筋繊維に比べて、筋肉の収縮するのが遅く、力が弱い一方、持久性に優れています。 思い浮かべてください。陸上競技の100m走の選手とマラソンの選手、どちらの足が太いでしょうか。 100m走の選手ですよね。 それは、前者がスピードを求め、主に速筋繊維をトレーニングで鍛えているのに比べ、後者は持久力を求め、トレーニングで主に遅筋繊維を鍛えているからにほかなりません。
◆ウォーキングだけで寝たきりが予防できない理由 前置きが長くなりましたが、ウォーキングで鍛えられるのは遅筋繊維です。 さて、ベッドから起き上がるときの動作を思い出してください。 一瞬で体を起こすには、瞬発的な動きが必要になります。 だから、ウォーキングでは、寝たきりは予防できないのです。 また、年齢を重ねるとともにより落ちやすくなるのは速筋繊維といわれています。 「肉体的な老化」を予防するという観点からすれば、ウォーキング以外の運動が必要なのは明らかです。 ※本稿は、『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(アスコム)の一部を再編集したものです。
上村理絵
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