大阪ダブル選、アップデートおおさか擁立の2氏が落選 IRを争点化しきれず
9日に投開票された大阪府知事・市長選の「ダブル選」で、政治団体「アップデートおおさか」が擁立した府知事選候補の谷口真由美氏と、市長選候補の北野妙子氏はいずれも落選した。大阪市内のホテルで行われた記者会見に現れた両氏は、ときおり笑みも浮かべつつ淡々と選挙戦を振り返った。 【動画】「アップデートおおさか」陣営が会見 谷口氏「淡々と受け止める」(2023年4月9日)
アップデートおおさかは、「多様な意見を取り入れつつ、持続可能でもっと豊かな大阪をつくる」として、大阪の経済人らが設立。2月、法学者の谷口氏と大阪市議だった北野氏は、アップデートおおさかの立候補の要請を受諾し、選挙戦を戦ってきた。
午後8時台前半に始まった記者会見で、谷口氏は「まだ敗因が分析出来てないので、今は淡々と事実を受け止めている」と語るとともに、「被選挙権を行使できたのは幸せなこと。女性2人が首長選に立候補したのは何らかの意味があったと思う。その点で(選挙に)出たことを自分でも誇りに思っている」と率直に述べた。
北野氏は「今、結果を聞いたばかりであり、いろいろ分析はできていないが、結果は結果として重く受け止めたい」と語る一方、「得難いものを得られて今はすがすがしい思い。残念な気持ちはもちろんあるが、結果が出たことを真正面から受け止めることが今はできている」と心境を語った。
今回の選挙戦では、IRを1つの争点としたが及ばなかった。谷口氏は「もちろん私たちが争点化しきれなかったこともあるが、これはメディアへの注文でもあるけれども、IRの抱える問題点をどこまで本当に伝えきれていたのか。IRについては知らない層が圧倒的に多い」と、府民の理解が深まらない中で計画が進む現状があると懸念。北野氏は「国が認定を下ろせないという話が出た後で、吉村さんが今回の最大の争点はIRだと言ってきた。争点としきれなかったのは、私たちの方より維新の方に理由があるのではないか」との認識を示した。
女性議員、首長はいまだ人数が少ない。谷口氏は「(女性が選挙に出ることの)ハードルはたくさんある。家族の同意であるとか、あと、街頭でいくら政策を語っても『谷口は感情論ばかりで政策を話さない』とたたかれた。女性を無能扱いする風潮は明らかにある」と指摘。北野氏は「支える側のスタッフにほとんど女性がいない。それから(女性が選挙に出る時は)介護や育児、仕事など、犠牲にすることが多いんじゃないかと思う」と語った。 (取材・文:具志堅浩二)