メディアは皇族の受験をどのように報じるべきか 成城大教授・森暢平
◇社会学的皇室ウォッチング!/138 メディアは皇族の受験をどのように報じるべきか 悠仁さま(18)の筑波大進学では、なぜ東京から通学するのかが話題の焦点になっている。だが、私はもう一度、悠仁さまの受験と合格がどのように報じられたのかという根本を考えてみたい。そもそも、皇族の受験はどう報じられるべきなのか。(一部敬称略) 悠仁さまが筑波大の学校推薦型選抜を受験したのは11月28、29日である。秋篠宮家のミニバンが大学構内を走る姿は、日本テレビとフジテレビのカメラが同じ位置から撮影し、合格した12月11日にオンエアされている。日テレの「news every.」で宮内庁担当の加納美也子は「(悠仁さまは)会場近くまで車で移動し、一人で試験会場入り口へ歩いて来られたということです。そして背負っていたリュックから受験票と見られる書類を取り出し、近づいてきた職員に礼儀正しくお辞儀をして書類を見せ、会場に入られた」と解説した。 宮内庁担当記者の多くは、筑波大受験を把握していた。しかし、もちろん、取材設定はなく、日テレとフジは宮内庁の許可を得ない「隠し撮り」をした。受験会場に入る様子を描写した日テレの報道は、他社にない情報でかなり踏み込んでいた。 11月末の時点で、悠仁さまの合否はむろん分かっていない。だから、宮内庁詰めの記者たちは、受験を報じなかった。合格発表は12月11日午前10時で、合格の確認が取れた社から五月雨式に、合格情報が流れ始めた。宮内庁による正式発表は各社報道のあとの同日夕刻。発表文書には「多くの受験生が努力を続けている今の時期に、(悠仁さまは)自身の受験や合否についての発表を控えたいとの気持ちだった」との趣旨で書かれていた。 皇室報道には、宮内庁の記者クラブ(宮内記者会)に属し、皇室関係者への深い情報源を持つ大手メディアによるものと、面白ければあやふやで怪しい情報でも書いてしまう一部週刊誌やネットメディアによるものに分かれる。今回、宮内記者会の記者は慎重を期し、筑波大受験は知っていたが、合格まで記事にしなかった。