メディアは皇族の受験をどのように報じるべきか 成城大教授・森暢平
◇ICU受験報道に佳子さま、クレーム これには、悠仁さまの姉、佳子さまのときの反省という意味もあるだろう。佳子さまは学習院大2年生だった2014年8月末、大学を中退。そのことは宮内庁から発表されていなかったが9月11日にNHKが、中退とともに国際基督教大(ICU)のAO入試受験を報じ、各メディアも続いた。この時点で、佳子さまは願書を出したばかりだった。ICUのAO入試は書類審査で第一次合格が、面接・グループディスカッションで最終合格者が決まる。不合格の可能性さえあるのに、ICUの名前を出して報道されてしまった。 その後、佳子さまは10月24日に合格した。入学手続きを終えて、10月30日に宮内庁が合格と翌年4月からの入学を正式発表した。このとき、宮内記者会各社は発表を待つという形を取った。受験する時点での報道に、宮内庁サイドがクレームを付けたためだと思われる。実際、佳子さま自身、20歳となったのを機に行われた記者会見(12月15日)で、次のように不満を述べた。「合格する前から、ICUを受験するという内容の報道がされていました。この報道を宮内庁が発表したものと勘違いされている方が多いようですが、宮内庁から私がICUを受験するという内容の発表はしておりません。合格するかどうか分からないなかで、このような報道があったことで、さまざまな誤解があったと思います」 佳子さまははっきりと報道にモノ申している。佳子さまは「幼稚園から高校まで学習院に通っており、限られた一つの環境しか経験できていないと感じることが多くございました。中学のころから、別の大学に行きたいと考えるように(なった)」と退学の理由を明確にした。そのうえで、「(高校3年のとき、他大学を)受験いたしましたが不合格となったため、内部進学で学習院に進学いたしました。入学したからにはきちんと卒業するべきだという考えもございました」と続けた。高校3年のとき、外部進学を希望し、受験したが不合格になってしまった事実までカミングアウトしたのである。ICUでは英語の授業が行われ、専攻を決めずに幅広く学べるという転学の理由を強調した。