王者奪還の旅路は道半ばで…頂上決戦で見られたソフトバンクの「誤算」と「収穫」
◆SMBC日本シリーズ2024 第6戦 DeNA11―2ソフトバンク(3日、横浜) 【#記者コラム/#好球筆打】 「王者」の称号を取り戻す旅路は、道半ばで終わりを迎えた。小久保ホークスが日本一をかけた頂上決戦に敗れた。レギュラーシーズンの貯金差は40(ソフトバンク42、DeNA2)。過去最大の「格差対決」とも言われた今回の日本シリーズは先に2連勝と優位に立ちながら、そこからまさかの4連敗と屈した。 ■リーグVも大ナタ…ドラ1右腕らが大量構想外【一覧】 「DeNAの方が勝負に対する執念、執着心が強かったね。それはプレーぶりにもあらわれていた。ただ、シリーズは負けたけど小久保監督は選手の長所を引き出し、シーズンで91勝もした。その功績は大きいですよ」 監督時代は不動の4番打者に育て上げ、今では球団会長としてまな弟子を支える王会長は、監督1年目で日本一まであと一歩に迫った小久保監督をねぎらった。「監督ってのは孤独なんだよ」。自身も監督として同じ経験を持つからこそ、いつも通りに寄り添った。 ただ、結果として敗れた事実は残った。その道中、何より気になったのはシーズン中はあまり見られなかった選手起用が目立ったことだろうか。中でも、高卒4年目で今季1軍デビューこそ果たしたものの、わずか7試合出場の笹川を第4、5戦目に先発起用したことは驚きでしかなかった。 しかも、大事な第5戦は「1番」での起用だった。2勝2敗のタイに戻されたチーム事情から起爆剤として期待しての起用だったかもしれないが、4打数無安打と振るわず。通算でも7打数1安打、1盗塁に終わった。 この結果を問いただすつもりはない。常に「最悪、最低を想定して動いている」という指揮官の中で明確な狙いがあっての起用だったことは明白だ。しかし、共に戦う多くの選手が戸惑いを持っていた。その点に限れば誤算だったかもしれない。 一方で、連覇を目指す来季に向けては収穫ある日本シリーズにもなった。投手陣では尾形、松本晴、前田純、木村光とシーズンの大半を2軍で過ごした選手が大舞台のマウンドを踏んだ。シーズン15試合登板の新人岩井も3試合に登板した。結果が伴わず、悔しい思いをした選手もいたが、これだけ多くの若手が頂上決戦デビューを果たすのも珍しい。シリーズ敗退で負った傷は深いが、未来へ向けてまいた種が来季大きく花開くことを、いまは願うのみだ。(石田泰隆) 【#OTTOホークス情報】
西日本新聞社