「ポスト山本由伸」は誰だ? プロ野球2024「沢村賞」展望
防御率0点台やノーヒットノーラン達成投手が複数おり、ハイレベルなタイトル争いが繰り広げられる今季のプロ野球。ここ3年、オリックス時代の山本由伸(現ドジャース)が独占してきた"先発投手最高の栄誉"を受け継ぐのは誰なのか? 【写真】「沢村賞」有力候補の投手たち ■最有力は"一番弟子" 史上まれに見る"超投高打低"シーズンの今季、ハイレベルな沢村賞争いが繰り広げられている。 沢村賞は「15勝以上、防御率2.50以下、150奪三振以上、完投10試合以上、投球回数200イニング以上、登板25試合以上、勝率6割以上」の7つの基準で評価され、12球団から原則ひとりが選出される"先発投手最高の栄誉"だ。 歴代受賞者の成績に詳しい本誌おなじみの野球評論家、お股ニキ氏は「今の時代、完投10試合以上と投球回数200イニング以上を達成するのは難しいものの、結局は勝利数、防御率などが重視される印象」と語る。 「投手評価では、チームの守備力や運に左右されない客観的かつ統計的なセイバーメトリクスの指標を重視する声もありますが、いい投球を積み重ねれば防御率や勝利数、イニング数などは自然と積み上がるもの。結果として、さまざまな数値も軒並み高まります」 加えて、選考委員の心証も影響するとして、ダルビッシュ有(パドレス)のこんなつぶやきを紹介してくれた。 「ダルビッシュは以前、選考委員の球界OBに『君はこれから先も何度でも受賞できるから今回はほかの投手に投票しておいたよ』と言われ、それ以降は目指す気が起きなくなったとつぶやいていました。このように、受賞歴があると『前に獲ったからいいでしょ』『もっといい成績じゃないと』と厳しい目で見られがちです」 こうした受賞傾向も考慮し、現時点での最有力候補としてお股ニキ氏が挙げたのは、現時点で規定投球回には届かないものの、キャリアハイの10勝を挙げている髙橋宏斗(中日)だ。7月は4戦4勝、32イニング無失点で月間MVPを受賞。防御率0.68と無双状態だ。 「2年連続で山本由伸(ドジャース)に弟子入りし、憧れすぎてフォームまで完コピしようとしすぎた。自分本来のフォームへ修正するのに時間がかかり、開幕は2軍スタートでしたが、5月に本格復帰してからは見事な投球を継続。山本と同じように投手4冠(最優秀防御率、最高勝率、最多勝利、最多奪三振)を獲得しそうな勢いです」