「ポスト山本由伸」は誰だ? プロ野球2024「沢村賞」展望
また、フォームの試行錯誤によって、"ある進化"も起きているという。 「昨季までのストレートは、球速は出ていても質はさほどでもなかった。しかし、今季はリリースポイントが少し上がったこともあり、回転が良くなりました。さらに、スプリットの質が暴力的に高い。145キロ前後で鋭い変化で落下し、カウント球でも決め球でも使えて万能。カッターとカーブの質も向上しています」 現状の勢いなら、開幕から1ヵ月出遅れたマイナス面を補って余りある。 「8月、9月も月間MVPを連続受賞しそうな状態で、最終的には15勝、防御率0点台もありえます。今季はボールが飛ばないことを加味しても、今の髙橋は傑出した存在であるといえます」 1943年に藤本英雄(巨人)が記録した0.73を超える大偉業も狙えそうだ。 ■防御率1点台が続出 では、髙橋が現段階で沢村賞の最有力候補だとして、追いかける1番手は誰か? お股ニキ氏が挙げるのは先発転向1年目のリバン・モイネロ(ソフトバンク)。現在9勝を挙げ、防御率1.50は堂々のリーグ1位だ。 「先発で通用するかどうかの決め手は球種の豊富さとコントロール。モイネロはストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップのどれでもストライクが取れる上に、中継ぎのときより力感を多少落としても球の強度は維持。さらに、ピンチではリリーフ的投球もできるので、毎試合7回2失点以内で安定してまとめています」 続いて、2年ぶりの2桁勝利に到達した菅野智之(巨人)を挙げる。お股ニキ氏が春季キャンプで取材し、今季の復活を確信していたとおりの活躍ぶりだ。 「菅野は球の強度を取り戻して復活。取材時には『右打者にフォークをもっと有効に使いたい』と語っていましたが、そのフォークの質がますます良くなっている上に、カーブも効いています。過去2度も沢村賞受賞経験があるので、沢村賞争いでは不利になるかもしれませんが、それでも傑出した投手であることは間違いありません」 その菅野と最多勝争いを演じるのが床田寛樹(広島)だ。 「床田はマッスラ気味のストレートに加え、程よく斜めに曲がって落ちるカッター、ツーシームの使い分けがうまい。飛ばないボールと味方の好守備も巧みに利用し、テンポ良く打たせて取る投球ができていて、安定感は抜群です」 前半戦で沢村賞最右翼の投球を見せていたのは、すでに3完封、キャリアハイの9勝を挙げ、防御率1点台をキープする才木浩人(阪神)だ。