【徹底解説】ビットコインの半減期とは? 仮想通貨市場に与える影響・考えておきたい論点
・次回半減期の供給減について
次回半減期のビットコインの供給減は、どの程度の規模なのでしょうか。複数の側面から考えてみます。 ブロック報酬が3.125BTCずつ減った場合、1年あたり164,250BTC分の新規供給が減ることになります(3.125 * (60分 / 10分) * 24 * 365)。現在マーケットの話題の中心となっている米ビットコイン現物ETFを基準に比較すると、米ビットコイン現物ETF10件のネットフロー(流入出の合計)は、2月9日までの21営業日で1日平均2,400BTC程度の買い越しとなっているため(BitcoinTreasuriesのデータより算出)、新規供給減の数量は1年あたり米ビットコイン現物ETF換算で68営業日分と考えることができます。 仮に1カ月の営業日を22日とすると、1年あたり新規供給減の数量は米ビットコイン現物ETF3カ月分以上の資金流入分と同程度であり、ある程度大きな規模であるといえるのではないでしょうか(ETFフローが現在と同じ推移をたどる保証はなく、あくまで現在までの値をもとにした参考、という但し書きは必要です)。 次に、ビットコインの発行済数量(供給量)を確認します。2月11日0:00時点での発行済数量は約1,963万枚(Glassnodeより)であり、これはビットコインの最大発行数量である2,100万枚のうち93.47%にあたります。ビットコインの多くは既に発行済であり、次回の半減期で新規供給量が減ることは、全体への影響の観点で、今までの半減期ほど大きくならないだろうと考える人も存在します。
一方で、市場(価格)への影響を考えるために別の観点を追加することで、より解像度を上げることができるのではないかと筆者は考えています。それは、調整済循環供給量(Adjusted Circulating Supply)です。 ビットコインのトランザクションは修正できないため、誤った宛先に送付してしまったビットコインが失われてしまうことや、管理しているウォレットの秘密鍵を失い、ビットコインを取り出せなくなってしまうことがあります。また、一度購入したビットコインを生涯持ち続けるケースも考えられます。このようなビットコインは、市場で二度と流通しないかもしれません。調整済循環供給量では、7年以上移動されていないビットコインを取り除いた供給量を計算します(5年以上移動されていないコインを取り除くFree Float Supplyという考え方も存在します)。 上のチャートのように可視化すると、発行済数量が徐々に増加しているのに対し、調整済循環供給量は横ばいになっていることがわかります。ここから、次回の半減期でビットコインの新規供給量が減ることで、調整済循環供給量は、少しずつ減少に転じるのではないかという仮説を立てられます。仮に今まで微インフレ~横ばい状態であった市中のビットコインがデフレ側に傾くようになるとしたら、価格に対しポジティブな影響が発生するかもしれません。