食事のタイミングで健康維持 血糖値管理の秘訣と「時間栄養学」の視点
血糖値の変動を小さくするためには?
編集部: 血糖値は朝・昼・夜、いつが高くなりやすいのでしょう? 理由についても教えてください。 田原先生: 食後の血糖値は、朝食よりも夕食後に高くなりやすいといわれています。これは腸管における糖の吸収やインスリンの分泌に、日内リズムがあるからです(※1)。 この日内リズムは、体内時計によって調節されていることも分かっています。ちなみに、体内時計が乱れたマウスでは、インスリンの分泌が低く食後高血糖がより起こりやすくなります。 編集部: 夕食時の血糖値を上げすぎないためにはどうしたら良いですか? 田原先生: 一つは、「食べる順番」です。サラダなどの副菜から食べ始め、主食や主菜をその後に食べるだけでも、食後高血糖を抑制することができます。 また、糖の吸収を抑えるような機能性表示食品やサプリメントを、食事前または食事中に摂取することで、食後高血糖を抑えることができます。 編集部: 血糖値の変化を小さくするために、朝食・昼食のアドバイスはありますか? 田原先生: 2食目の食事は、食後血糖値が上昇しづらいことが知られています。これを「セカンドミール効果」と呼びます。朝食を食べることで昼食後の、昼食を食べることで夕食後の血糖上昇を小さく抑える効果が期待できます。 なので、朝食や昼食を食べないよりは、分食して食べる方が食後の過度な血糖上昇の抑制に適しているのです。
間食をとることは悪いことではない?
編集部: 間食をとることのメリットを教えてください。 田原先生: 間食を摂ることで、夕食時にセカンドミール効果が期待できます。これまで間食はあまり良くないイメージがありましたが、時間栄養学的には間食をむしろ積極的に摂ることで、夕食後の血糖上昇を抑制することができます。 編集部: 間食では、何を食べるのがオススメですか? 市川先生: オススメは炭水化物と水溶性食物繊維ですね。例えば、バナナなどの果物や雑穀米のおにぎり、食物繊維の豊富なビスケットなどがおすすめです。普通のクッキーに食物繊維が豊富な飲料を組み合わせるのも良いですね。 編集部 そのほか、血糖コントロールを意識した食事についてアドバイスや注意点はありますか? 市川先生: 夕食の時間が遅くなると、同じ夕食内容でも食後に血糖値が上がりやすくなります。仕事で帰りが遅く、夕食の時間も遅くなる場合は、積極的に間食を摂取するといいでしょう。間食を使い夕食を分食することも効果的です。 参考文献 ※1. Time of day difference in postprandial glucose and insulin responses: Systematic review and meta-analysis of acute postprandial studies https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/07420528.2019.1683856