0ポイントからの“超”大逆転へ! 東浩子が5ストローク伸ばし通算6アンダーの暫定11位タイに浮上
今季3試合目のレギュラーツアー出場
◆国内女子プロゴルフ 第35戦 伊藤園レディス 11月8~10日 グレートアイランド倶楽部(千葉県) 6769ヤード・パー72 【画像】「最強アズマ軍団」はみんなで何勝? 主な世代別勝利数と構成メンバーをチェック
土壇場からの下剋上へ。東浩子が5つスコアを伸ばし、通算6アンダーで11位タイに浮上。メルセデス・ランキング170位からの大逆転を狙う。 国内女子ツアー「伊藤園レディス」は、シードのボーダーライン上にいる選手たちにとっては、これを含めて残り2試合というガケっぷちの戦いだ。
2日目、1アンダー43位タイからスタートした東は、10番の“裏街道”から順位を上げていった。11番で3.5メートルを沈めて最初のバーディーを奪うと、14番から3連続バーディーで5アンダーまでスコアを伸ばす。アウトの2番、4番でもバーディーを重ね、9番はボギーとしたが通算6アンダー、一気に表舞台に浮上した。 ツアーは大詰めに入り、フルフィールドでは次週の「大王製紙エリエールレディス」が最終戦となる。当然、メルセデス・ランキング50位までのシード権争いは白熱。 QTランキング62位の東は、今季は下部のステップ・アップ・ツアーが主戦場で、レギュラーツアーは2試合しか出場していない。獲得ポイント0でメルセデス・ランキング170位(獲得ポイントが同じ場合も規定によって順位が付けられている)で、ボーダーラインには遠く及ばない位置にいる。 出場したレギュラーツアーは2試合とも予選落ちしているが、主催者推薦で出場した今大会2日目に一気に順位を上げた。 「ステップアップでもスコアがまとまってきて、ゴルフの内容がよくなってる中での伊藤園(レディス)は楽しみでした。元々ショットメーカーなので、近くにつくけど入らないパッティングに3~4年前から悩んでいた」という東。 ここ数年、いいゴルフができていない原因はパターだったと語る。しかし、徹底的に見直してパットのリズムを中心にイメージを変えたことでいい流れができた。「やればできるじゃん」と、明るい表情でプレーを続けている。 成田美寿々、青木瀬令奈、福田真未、香妻琴乃、葭葉ルミ、堀奈津佳らと共に、注目された1992年度生まれの一人。1998年度生まれの黄金世代が注目された折りには「自分達も名前が欲しい」と仲間同士で話し合って「最強アズマ軍団」と命名。 それぞれ実績がある個性豊かな仲間たちがツアーの最前線にいた。しかし年齢を重ねるごとに出場できなくなったり、一時ツアーを離れたりする者が増えている現状がある。 東自身も、2019年に手放したシードを取り戻すことができないまま、今日に至っている、。そんな日々の中で、ツアーにフル参戦していたころとは違い、時間に余裕ができたことで自分とその周囲を見つめ直し、ツアーへの気持ちは逆に強くなった。 「レギュラーツアーに戻ることが第一目標です。QTには出続けたいし、まだまだ頑張れるな、という気持ちがあります。最近は、試合がないときに出会った人や、シードを落とした後でも付き合っている人とのことを考えると、自分は恵まれているんだな、と本当に思います」 「ツアーでプレーを続けていることは、当たり前じゃない。すごいことなんだって。必死でやっている時には見えなかったことが感じられます。お客さんに拍手をもらうのは生きがい。エネルギーになる、と年々思います」と、モチベーションは高い。 ポイントだけでは優勝しても50位には及ばないが、優勝であれば来季の出場権は手に入る。首位との差は4打。ツボにハマれば爆発力のある東だけに、最終日は面白い戦いを見せてくれるかもしれない。
小川淳子(ゴルフジャーナリスト)