ニスモ40周年を長谷見昌弘、星野一義、近藤真彦らが祝福。豊田章男氏も登壇した記念式典が日産グローバル本社ギャラリーで開催
9月17日、日産自動車および日産モータースポーツ&カスタマイズは、同日にブランド誕生40周年を迎えた『NISMO(ニスモ)』を祝う記念レセプションを神奈川県横浜市の日産グローバル本社ギャラリーで開催した。式典にはさまざまなニッサン/ニスモ関係者が参加し、40周年というアニバーサリーを祝福した。 【写真】ニッサン/ニスモ役員の田中利和氏、木賀新一氏、片桐隆夫氏とカルソニックスカイラインの前で写真撮影を行う豊田章男氏 創業当初から『他のやらぬことを、やる』という精神でモータースポーツに挑戦してきたニッサン。その活動から生まれたニスモは、過酷かつエキサイティングなレースの場で競い合い、現在もABB FIAフォーミュラE世界選手権やスーパーGTといったレースシーンで活躍。市場にはレースで培った経験と技術を注ぎ込んだ“ニスモロードカー”を送り出し、多くのファンを魅了している。 ニッサン/ニスモは、そんなハイパフォーマンスブランドが2024年9月17日に誕生40周年を迎えたことを祝うべく、記念特別展示が行われている日産グローバル本社ギャラリーで記念レセプションを実施した。 まず壇上に登壇した日産自動車代表執行役社長の内田誠氏は「9月17日にニスモブランドが40周年を迎えました。今年は柱のひとつであるフォーミュラEのレースが日本で初めて開催されました。ロンドンでの最終戦では優勝を果たすことができ、声援の力とチームの熱気を肌で感じることができました。来季からはニッサンの電動化技術がさらに進化を遂げる予定ですので、ぜひご期待ください」と述べた。 「もうひとつの柱であるスーパーGTは、今年も各チームがしのぎを削る熱戦が繰り広げられています。これから終盤戦に突入していきますが、ニスモのチーム力とファンの皆さんの声援を糧に、チャンピオン奪還に向けて挑戦を続けてまいります」 そう語った内田社長の言葉の後、ひとりのサプライズゲストが壇上に呼ばれた。舞台袖から姿を表したのは、スーパー耐久シリーズを運営するスーパー耐久未来機構(STMO)の理事長を務め、自らもレーサー“モリゾウ”として活躍するトヨタ自動車の豊田章男会長だ。 今回はトヨタ自動車会長ではなく、あくまでSTMO理事長としてニスモ40周年を祝いに来たという豊田氏は「スーパー耐久はN1耐久のときからニッサン/ニスモさんに支えてもらったと言っても過言ではありません」とスーパー耐久シリーズについて語り始める。 「ニッサン/ニスモさんは『プライベーターにクルマを供給してサポートを行う』という伝統を参加型レースで作りました。現在では各社にモータースポーツを起点としたサブブランドが設立されていますが、その流れを作ったのはニッサン/ニスモさんです。参加型レースの先駆者として、これからも未来を引っ張っていってもらいたいです」 豊田氏に続いては、ニスモブランドを展開する日産モータースポーツ&カスタマイズの片桐隆夫代表取締役社長が「フォーミュラEとスーパーGT GT500クラスでのワークス活動を2本の柱に、フォーミュラEは来シーズン以降のさらなる飛躍を目指して新マシン『GEN3 Evo』への適合と準備を進めています。また、今季からニッサンZニスモを新投入しているスーパーGTでは、チャンピオンを奪還すべく、ニッサン系4チームが一丸となって全力を尽くしていきます」とレース活動への抱負をアピールした。 また式典では、これまでニッサン/ニスモでレースを戦った関係者やレーシングドライバーたちが参加するトークセッションも実施。長谷見昌弘、星野一義、近藤真彦といったレジェンド、現役ニッサンドライバーの千代勝正と高星明誠に加え、ニッサン・フォーミュラEの西川直志チーフパワートレインエンジニアがニスモ40周年を祝福する。 トークセッションではニスモ時代のさまざまなエピソードが各ドライバーから語られたが、近藤が富士フレッシュマンレースにニッサン・マーチでデビューしたのがニスモ創立と同じ1984年ということで、当時の写真が後方スクリーンに映されるなかで思い出を語った。 「90年代のはじめに難波(靖治/ニスモ初代社長)さんから『マッチ、ル・マンのニッサンを応援しに行くぞ』と言われ、長谷見先輩や星野先輩と写真を撮影するときに、そのときは借り物のジャンパーだったのですが、数年後にはワークスの一員として名前入りジャンパーを貰って写真を撮影しました。まるで夢のようで、泣きそうになったことがすごく印象に残っています」 また、育成プログラム『ニッサン・ドライバー・デベロップメント・プログラム(NDDP)』出身で、今季からスーパーGTでエースカーの23号車を駆る千代は「先輩方のお話を聞くと本当に歴史があり、その伝統は今も受け継がれていることを感じました」と感慨深い様子。 その千代はニッサンのエースカーである“23号車”をドライブすることに対して、これまでの経験から、まだ少しプレッシャーがあると打ち明ける。そのことを聞いた星野は「失敗があるから良いんだよ。限界を超えないでいても意味がなくて、プロなんだからそれを超えないといけない」とエールを送る。 「(レースは)仲良し会じゃないし、僕と長谷見さんは予選のときなんか目も合わせないし口も聞かなかった。アマチュアではないから、それくらいの気持ちでニッサンを背負って、本当のプロに僕は成長した。少し厳しい言葉かもしれないけど、それくらいのガッツで行ってほしい。頑張ってね」 式典はその後、第二部としてパーティーが執り行われ、和やかな雰囲気で幕を閉じた。なおニスモでは、今回の会場となった日産グローバル本社ギャラリーでの40周年記念特別展示を10月15日(火)まで開催しているほか、公式サイトやYouTubeでは40年の軌跡を紹介するコンテンツなどを公開中だ。 12月には富士スピードウェイでニスモフェスティバルの開催も予定しているニッサン/ニスモ。名車や名ドライバーとともに、今後もレースファンやクルマ好きの心を動かし続けていくだろう。 ■ニスモ40周年記念サイト:https://www.nismo.co.jp/nismo_40th/ [オートスポーツweb 2024年09月18日]