全日本ラリーRd.5「モントレー2024」は新井大輝組が地元群馬で圧勝! 碓氷峠旧道で勝負を決める
今年のモントレーは碓氷峠の旧道をほぼ全線に渡ってステージとして使用
全日本ラリー第5戦「モントレー2024」が群馬県安中市を中心に開催されました。 レースはかつて赤城山、榛名山、妙義山の上毛三山を舞台に開催されていたことから、フランス語の3つの名峰、mont tresのラテン語表記Montresという名称で親しまれることになりました。ちなみに、高崎駅の駅ビルもモントレーと言います。 【画像】2024年全日本ラリー第5戦「モントレー2024」の様子を見る(35枚)
昔からラリーが盛んだった群馬県からは、数多くのドライバー、コドライバーが生まれ、世界を舞台に活躍する選手も多く輩出しました。 今年は安中市をベースとして、東日本選手権や群馬ラリーシリーズで以前から使用していた林道に加え、今回一番の目玉である、国道18号碓氷峠の旧道をほぼ全線に渡ってステージとして使用し、国道を占有してのラリーは日本で初めてのことで大きな話題となりました。 安中しんくみスポーツセンターをスタートした競技車はSS1塩ノ沢峠へ向かいます。 オープニングステージを制したのは勝田範彦・木村裕介組のGRヤリスRally2でした。0.4秒差で地元群馬の新井大輝・松尾俊亮組のファビアR5が続きます。続くSS2八倉峠で勝田・木村組に0.5秒差を付けた新井・松尾組はここから快進撃が始まります。 注目のSS3旧碓氷峠で新井・松尾組は6分52秒8のタイムを記録。サービスを挟んだSS4旧碓氷峠では9.1キロのステージでSS3の自身のタイムを7.5秒も上回る6分45秒3を記録し、このステージ2番手の奴田原・東組に6.3秒もの大差をつけ、総合2位の勝田・木村組には11秒のリードを築きました。
非力な車で格上の車をカモにするという、まるであのマンガのような展開!
この旧碓氷峠で最も注目を浴びたのがJN-5クラスの嶋村徳之・小藤桂一組のヤリスでした。 1.5リッター以下のFF車で競われるこのクラスは、ヤリス、GRヤリスRS、マツダ2などが参戦していて、ベテラン、若手が入り乱れて接戦が続くクラスです。
嶋村選手は去年まで東日本選手権や、群馬ラリーシリーズを中心に参戦しつつ、中部近畿選手権や全日本ラリー選手権にスポット参戦してきました。今年から若手選手を多く輩出してきたMATEX-AQTEC RALLY TEAMに所属しています。 自ら所有するランサーからチームが所有するヤリスに乗り替えたことで走らせ方の違いに戸惑い、本来の実力を発揮できていない今シーズンですが、ようやく走りにキレが戻ります。旧碓氷峠の1本目SS3で、なんと総合13位のタイムを記録したのです。 JN-4はおろかJN-3クラスのタイムをも上回り、JN-2クラスに肉薄するタイムでした。2本目のSS4では自らのタイムを2.3秒上回り、JN-5クラス2位の大倉聡・豊田耕司組のGRヤリスRSに21.4秒のリードを築くことに成功します。 碓氷峠の下りで非力なクルマで格上のクルマをカモにするという、まるであのマンガのような展開に同じクラスに参戦する選手達からも驚きの声が上がり、さらには本来の実力をようやく見せ始めた嶋村選手への賞賛の言葉も聞かれました。 嶋村・小藤組は地元群馬で勝たないと後がないというプレッシャーを跳ね除け、ラリーを通してクラス首位を譲らず、全日本ラリー初優勝を飾りました。今シーズンは笑顔を見せることが少なかった嶋村選手が久々に見せた笑顔が印象的でした。