コロナ禍を生き抜く演劇人 音声劇で稽古からリモート活用
アナログ感覚の演劇人も映像やネットに慣れる好機?
同作に出演する俳優の谷口礼子さんは、コロナ禍ならではの発見について話す。 「演者は広島や名古屋など居住地もそれぞれですが、リモート稽古なら距離は無関係です。また、初演の時は電車のドア開閉など現実に起きていることにタイミングを合わせないといけない苦労がありましたが、音だけですからやりやすかったです」 谷口さんは、昨年話題になった銚子電鉄制作の超低予算映画「電車を止めるな!~呪いの6.4km~」(赤井宏次監督)にも出演している。もともとの経営難に加え自然災害やコロナ禍で減少した収入を興行収入で補い、銚子や銚子電鉄の注目度を高め存続はもとより地域の観光再生につなげるのがねらいという作品だった。そんな経験からも、どんな状況にあっても諦めず打開策を見出そうとする人たちと接してきた。 「コロナ禍になって配信公演がクローズアップされてきたのは良いことだと思います。遠方からも観劇でき、アーカイブがあれば時間に縛られません。宣伝もSNSなどのツールを活用して映像で届けたほうが拡散しやすいですよね。演劇人はアナログな感覚の人が多いように思うのですが、この際、映像やネットに慣れる機会じゃないかなと思います」 従来からの発想を転換しポジティブに現状と向き合っていけば、コロナ禍で培った経験が今後活かせる面を発見できるということなのかもしれない。 (文・志和浩司)