プロ野球のスタジアムでよく広告を見る「エイジェック」、元甲子園球児の社長の野球愛がつまった知られざるその姿
プロ野球を観戦する人は、あちこちの球場で「エイジェック」という文字を目にしているのではないだろうか。グラウンドや観客席の目立つ位置に看板などでこの字が大書されている。しかし、スポーツ関係者以外で、エイジェックがどんな企業なのかを知る人は少ないだろう。 【写真】エイジェックグループの栃木ゴールデンブレーブスには「やればできる」で有名なお笑い芸人も所属 エイジェックグループの祖となる株式会社エイジェックは、2001年に設立され、建設技術や製造のアウトソーシングの事業を展開していたが、その後企業活動のプロセスを包括的に受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を事業の柱として急成長、今や、アウトソーシング、人材派遣の総合企業として、幅広い事業を展開している。 とりわけエイジェックは「スポーツ」に特化した事業展開で知られている。 ■ アスリートのキャリアサポートやスポーツ施設の指定管理業務も エイジェックスポーツマネジメント事業部は、男女の硬式野球部を持ち、社会人野球における「野球選手の雇用・セカンドキャリア支援」を行っている。 また、プロ・アマ問わず、アスリートの就業先の選択から就業後支援までを行うキャリアサポート、スポーツイベントを開催するうえでの会場におけるイベント運営のサポート、スポーツ施設の指定管理者業務も行っている。 スポーツイベントに欠かせないチアダンスに関するイベント企画運営やチア派遣、子どもたち向けのスポーツアカデミー事業も展開している。 そして実は、日本で最大の独立リーグであるBC(Baseball Challenging)リーグに所属する栃木ゴールデンブレーブス(株式会社栃木県民球団)も、エイジェックグループの一員だ。
一般的には、独立リーグ球団は独立採算であり、地域密着型のマーケティングを展開してスポンサードを得てチームを運営しているが、栃木ゴールデンブレーブスの場合は、ビジネスモデルが全く異なる。 ■ 主催試合で蓄積したノウハウを他のスポーツイベントで活用 栃木球団も、地域密着型のマーケティングを行っている。しかしこれは、球団の収益のためであると同時に、スタッフが地域の現場でマーケティングの経験値を高めることも目的にしているのだ。球団の主催試合における観客動員や場内整備などの業務も、社員にとっては他のスポーツビジネスの現場で役立つノウハウを蓄積する場になっているのである。 こうして栃木球団で経験値を蓄えたスタッフが、他のスポーツイベントに配属され「即戦力」として力を発揮している。 栃木は、元巨人の村田修一や元メジャーリーガーの西岡剛などの著名なプロ野球選手が在籍したことでも知られる。今も川﨑宗則が選手として在籍している。 こうした選手は、独立リーガーに、一流のプロ選手ならではの練習や試合に臨む姿勢を教えるなど、大きな影響を与えた。同時に、2018年9月9日の村田修一の引退試合では、球団最多の6025人がつめかけ、全国的なニュースになるなど、独立リーグの振興にも大きく貢献した。 さらにエイジェックは、2023年から、少年硬式野球チーム日本一を決定する「エイジェックカップ」を主催している。 日本の少年硬式野球は、リトルシニアリーグ、ボーイズリーグ、ヤングリーグ、ポニーリーグ、フレッシュリーグと、多くの団体に分かれ、それぞれが大会を行っている。しかしそれを統括する団体は存在せず、同じ中学野球をする仲間ながら、対外試合は限定的で、一体感は全くなかった。 エイジェックは、中学硬式野球の主要団体に声をかけて「エイジェックカップ中学硬式野球グランドチャンピオンシップ」を創設。第1回大会は2023年8月29日に甲子園球場で決勝大会が行われた。