プロ野球のスタジアムでよく広告を見る「エイジェック」、元甲子園球児の社長の野球愛がつまった知られざるその姿
■ 「生粋の野球人」である創業社長の思いが込められたアスリート専用の先端施設 なぜエイジェックグループがスポーツ、とりわけ「野球」に力を入れるのか。それは創業者の古後昌彦社長が、国学院栃木高時代に甲子園出場の経験を持つ生粋の野球人であることが大きいのだろう。 グループにも「元野球人」がたくさん勤務しているが、古後昌彦社長の「野球愛」が、野球、スポーツを核とした企業グループ作りにつながっているのは間違いないところだ。 今年9月、エイジェックグループは、栃木県栃木市に「エイジェックスポーツ科学総合センター」を開設した。 この施設はスポーツ医・科学を基にアスリート、子供から高齢者までが必要とする体力解析や動作解析、食育栄養、トレーニング、治療メンテナンスに至るまで最新機器・機材を活用し様々な側面からサポートを提供できる複合施設だ。 施設は大きく5つのラボからなっている。 「アローズラボ」は、競技ごとに必要な「視力・筋力・持久力・瞬発力・跳躍力」の5大基礎体力を計測できる機器が並んでいる。利用者はここで自分の持っている「基礎体力」を検査する。スタッフがその結果をもとに、パフォーマンス向上のための課題を抽出。 このラボでは、トップアスリートの数値と比較することもできるので、プロのアスリートを目指す人は、そこへ向けた道筋、トレーニングの課題などが明確になる。 特筆すべきは、この施設は一般の人も利用が可能なこと。中高年向けには「体力年齢」が算出可能なので、健康な生活を送るうえでの具体的な指針を得ることができる。
「パワーラボ」は、様々なトレーニング機器が並んでいる。アスリートから子供、シニア層までの幅広いトレーニング用途に対応している。利用者は、最新の機材を使って、効率的かつ安全に筋力アップ、スピードアップなど個々のテーマに合わせたトレーニングができる。 ■ 先端機器を使って選手のモーションを解析 さらに「ベースボールラボ」や「室内練習場」では、選手がトレーニングをすることができるが、ここでの選手の動きは「分析室」で、計測されバイオメカニクスなど動作解析のデータとして科学的に分析される。 野球であれば投手の投球データ、打者の打球データが弾道計測器「トラックマン」「ラプソード」などを用いて即座にデータ化される。またハイスピードカメラなどを使って、パフォーマンスを解析することもできる。 筆者が訪れた時は、社会人野球のエイジェック硬式野球部の選手が、野球グラウンドの内野部分とほぼ同じ面積の広い室内練習場でトレーニングしていた。選手のデータは分析室でデータ化されるのだ。 「コンディショニングラボ」は、最新鋭の身体計測機器を備え、ケガや故障などでリハビリテーション中のアスリートの回復状況を測定したり、障害予防や疲労回復などについて、経験豊富な現役トレーナーが身体のコンディショニングをトータルでサポートしたりする。 厨房と食事テーブルからなる「フードラボ」は、一見「食堂」のように見えるが、そうではなく選手自身が食育を通じて自給自足をし、自らアスリートとしての身体作りをすることを目指している。ただ与えられた食事を食べるのではなく、食材について学び、栄養価なども知ったうえで、自分で調理をすることで、健康管理について学ぶのだ。 さらに、ここはアスリートだけでなく地域交流の場として、食育・農業体験を開催する。 この施設を中心に取得したデータは様々な研究機関や企業、スポーツ団体などと協力・提携し、研究に役立てられる。これによって、スポーツ人口の増加やケガ・障害予防、競技力向上などスポーツを通じた社会貢献につなげることを目指している。